「はぁー。あずちゃん今日休みかぁ、」
今日の朝梓から風邪で休む、と携帯にメールが入っていた。
別にクラスの子は普通に話しかけてくれるしお弁当を一緒に食べてもくれ、過ごしづらいことはなかったが、いかんせん、皆がやたらと構ってきて雪は正直ダルかった。
だから、昼休みの残りは図書室に避難したのだ。
まぁついでだし本でも借りようかと見ていると、声がかけられた。
「こんなとこにおったんか。」
「ん〜?あれ、何でこんなとこに?」
振り向くと、特徴的な銀髪が目に入った。
「お前さんが教室から出ていったんが見えて、ついてきたんじゃ。」
雪は再び本に探しながら答える。
「あはは、暇人だねぇ!」
「暇人は酷いなり。」
「えー?酷いのはそっちでしょう?」
銀髪が一瞬さらりと揺れる。
「、俺なんかしてしもうたか?」
「あは!人を騙すならさ、自分の感情まで騙さないといけないよ、
柳生くん。」
雪は振り返り、仁王――のふりをした柳生と瞳を合わせた。
「っは、最初からお見通し、というわけですね。」
「んーまね、」
「自分の感情まで、とはどういうことでしょうか?」
柳生が頭のかつらをとり、服装を整えながら言う。
「自分が1番よくわかってるはずだよ〜?」
「…分からないので聞いているのですが、」
面白がるような態度で返す雪に少し柳生が機嫌を損ねたようにもう一度問いかける。
「――――懐疑、嫌悪、義務感、それと、少しの嫉妬かな?
そんな色で溢れてるよ、君のその瞳が。」
雪は歌でも歌うかのように軽やかに柳生にそう告げた。