「まぁ、頑張って!どうせ被害はきーちゃんがほとんどでしょ?」
「あぁ、あいつは変なところで空気が読めないからな。あと青峰もだ。」
「確かにあーちゃんも怒らしてそう!」
久しぶりの帝光の話に雪は本当に楽しそうに笑う。
「あ、そうだ!この前ねみーちゃん秘伝のシュート役にたったんだよ!」
「秘伝と言うよりお前が勝手に覚えただけだろう。」
「まぁいいじゃん!おかげで球技大会優勝だよ?」
緑間の小言もさらりと流す彼女は案外大物かもしれない。
「球技大会ごときお前ならそんなことしなくても余裕だっただろう。」
雪の本当の実力を知る緑間は溜め息を吐きながらそう言った。
「それじゃ、一緒にやった子が楽しくないじゃん!」
「、」
緑間はたまに本当に何故雪が赤司の幼馴染みなのだろうと思う。
「(あの赤司の勝利こそが正義だといわんばかりの思想と、こいつの思想は違いすぎる。)」
「まぁ、結局ちょっーとガチっちゃったけど。」
そう言いながらニコニコと笑う彼女は、赤司といて苦しくなることはないのだろうか。
けれど、もしこいつが赤司の傍を離れたい、と願う時が来たとしても。
「負けたらペナルティだって征ちゃんに言われたしねー。あ、でも、ほら。ちゃんと勝ったからご褒美くれたんだよ!」
雪の手首で赤いブレスレットが揺れる。
「相変わらず飴と鞭がうまいよねー。」
きっと赤司がどんな手を使っても彼女を離すなんてことをしないだろう。
「赤司が飴なんて与えるのは、お前だけなのだよ。」
できれば、そんな時が訪れて彼女が苦しむなんて事がないよう願う俺は、彼女に毒されているのだろうか。
まぁそれも悪くない、と緑間はふっと笑った。