次の日、学校に行くと何故か皆から「凄いねー」とか「お前ほんとに人間…?」とか「流石雪ちゃん」とか、よくわからないことを言われた。
一瞬昨日のプレーのことかと思ったけど、話しかけてくれたのは皆クラスメイトだったのでますます意味が分からなかった。
頭に?を浮かべていると、丸井に遭遇した。
「お前、ほんとに人間…?」
会って早々に失礼な奴である。
「それさっきも言われたー。」
結構酷いことを言われているにも関わらず、けらけら笑う彼女は大物かもしれない。
「何でなのかな?」
「あぁ、そっか。お前交換生だから知らねーのか。うちの学校はテストの結果貼り出すんだよい。」
「へー。そいえば帝光もそうだったよー。」
「よし、連れてってやるから見に行くぞ!そしたら分かっから!」
何だか意気揚々とした丸井に引き摺られるまま、人が沢山いる所へやってきてしまった。
「ちょっとわりぃ、ほら、見ろよ!お前ほんとはサイボーグだろ!」
騒ぐ丸井を煩いなぁ、なんて思いつつ、指差された先を見た。
そこに書かれていたのは
1位 吉田 雪 498点
2位 柳 蓮二 489点
3位 幸村 精市 485点
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「わー。」
「おまっもっと感動とかしねーのかよ!」
「や、うん、私、」
と言いかけたところで、
「雪ーっ!凄いわねっ!おめでとーうっ!」
丸井を押し退けた梓がにこにこ笑顔でやって来た。
「ちょ!何で俺を押し退けるんだよ!」
「あら、ごめんなさーい。」
「ふふ、あずちゃんありがとっ!」
取り敢えずお礼を言う。
「つか吉田の言葉遮んなよ!」
「え、嘘!ごめんね?」
すぐさま申し訳なさそうに謝る梓に丸井が突っ込む。
「態度が違いすぎだろ!
で、なに言おうとしてたんだ?」
「ん?あぁ、ただ私初めて首席取ったっていうだけだよ。」
さらりと言う雪。
「ええ?!初めて?!」
「それは興味深いな。」
「わっびっくりした!」
にゅっと出てきた柳に3人とも驚いた。柳の後ろに誰かいるが知らない人なので取り敢えず流しておいた。
「で、本当に1度もないのか?」
「うん、入学してからずーっと次席。」
柳の問いかけに素直に答える。
「それはそれですげぇな、おい。」
「流石私の雪よね!」
丸井は疲れたのかもう梓には突っ込まない。
「じゃあ首席は誰だったんだ?」
「えーとね、私の幼馴染みだよ!部活しながらも凄いよねー」
幼馴染みと言う言葉に興味を引かれたのか、柳がノートに書き込む。
「幼馴染みがいるのか。」
「うん!それも完璧人間な、ね!」
「じゃあそれは」
どんな奴なんだ、と聞こうとした所で言葉を遮られた。
「柳君、女性にそんなに質問するのは失礼ですよ!」
柳と一瞬にいた男の子がそう声をかけた。
「あは、だいじょぶだよー。お気遣いありがとね!君は?」
「あぁ、失礼しました。柳生比呂士と申します。」
随分紳士な中学生だ。
「私は吉田雪だよー。よろしくー。」
「もう!何でテニス部ばっかり雪に近づくの!」
そうにこやかに挨拶を交わしていると、梓が雪の前に出て柳生の前にたった。
「もう!雪、教室もどろう!」
梓は雪の手を引いて教室へ行ってしまった。
「行ってしまわれましたね。」
「ふむ、あいつのテニス部嫌いも相当だな。」
柳生がそう言うと、柳がそう呟きノートに再び書き込んだ。
そして、
「あれ、俺は………?」
例の如く丸井の扱いは雑である。