あの雪の信じられないシュートの後、流石強豪のバスケ部と言ったところかそのまま崩れるようなことは無かったが、彼女のトリッキーな動きや、あのシュートを完全に封じ込めることはできず、
ピピーッ
試合終了の笛がなった。
「決勝戦は31―16で――A組の優勝!両チーム、礼!」
「「「「ありがとうございました!」」」」
挨拶が終わるやいなや、応援していたクラスメイト達が一目散に駆け寄ってきて雪達を褒める。
「おめでとー!」
「とにかく凄かった!雪ちゃん、格好良すぎっ!」
「吉田ー!惚れたわまじで!」
「ほんと人は見かけによらねーな!」
「もう雪ちゃん愛してる!」
と、そこで梓が反応した。
「だめよだめよ!雪は私のなんだからっ!」
何故か変に焦った梓が可笑しくて皆笑いだした。
一瞬きょとんとした梓もつられて笑いだす。
梓にしたらちょっと前まではこんなことあり得なかった。周りから怖がられてるのは知ってたし、理由も理由でしょうがないと思ってたし諦めてた。
でも、今、皆と笑えてる。何気ないことなのに、何だか泣きそうだ。
こんなに笑ったのも、暖かい気持ちも―久しぶりだ。それもこれも全部私の隣のこの子――雪のおかげだ。
何だかもう――――
「大好きよっっ!」
「わわっ!あずちゃん?!」
思わず抱きついた。
「んふふ、私も好きだよ!」
そう言って笑ってくれる雪が大好きだ。
「……ってちょ!あずちゃんつっ潰れる!」
思わず更に力が入ってしまったらしい。周りから「新川、吉田抱き締め殺すなよー」なんて声も聞こえる。
ごめんね、と離そうとしたところで思いっきり引き剥がされた。
「わっなに?!」
「抱き着きすぎぜよ。」
犯人は仁王だった。
「ほら、優勝したけんこばセン、アイス!俺ハーゲンダッツがええなり」
「あ!そうだ!アイス!」
一瞬呆然としていた皆も我に返り、アイスコールが巻き起こった。
「私、クッキークリームがいいな!」
雪のその声に、「私ストロベリー」「俺、バニラ!」「えーじゃあ私、グリーンティー」と次々声が上がる。
「ちょ!お前ら教師の給料なめんなよ?!」
担任はもう半泣きだった。