あれから2日目も順調に勝ち上がり、遂に今日は決勝だ。
「雪ちゃん、頑張ろうね!」
「うん!せっかくここまで来たんだから目指せ優勝〜」
「でも、相手ってバスケ部だらけだよね…。私ちょっと怖い、」
確かに決勝戦の相手は5人中4人がバスケ部らしく、なんだか迫力がある。
「なぁんか女子バスケ部って強そうだもんね!」
「大丈夫よ!同い年なんだから!」
雪が同意すると梓がそう声を上げた。
「そうだよね…」
不安を口にした女の子はそう返したものの、やはりどこか不安げである。他のメンバーも少し怖いのか、表情が曇る。
「よし!じゃあ、皆聞いて!」
そんなメンバーを見て雪が声を上げた。
「作戦、言いまーす!」
今まであまりたてなかった作戦をたてるようだ。皆が注目する。
「あのね――……。」
「それでは決勝戦を始める!両チーム、礼!」
「「「「お願いしますっ!」」」」
「大丈夫なんかな、あいつら。」
試合を眺めながら丸井が口を開いた。
「んー?何がじゃ?」
「だってよ、うちのバスケ部って強えじゃん?吉田はすげぇけど、さすがに厳しいだろぃ。」
丸井がガムを膨らませながらそう言う。
「大丈夫じゃろ。」
それに対して、仁王は気にしてない様子だ。
「何で言い切れるんだよぃ。あ!ほら、点取られてんじゃん!」
丸井がコートを見ながら叫ぶ。
開始10分もたっていないのに、もうスコアは0-8だ。丸井が心配するのも無理はない。
しかし仁王は心配気な丸井をにやにやと眺めている。
「おま、なんか知ってんなら教えろ!つーかにやにやすんな!」
「そんな口の聞き方するなら教えん。」
「っだーもー俺が悪かったから教えてください!」
いつもならキレるところだが、仁王のこの余裕が気になるので素直に謝り、訳を聞いた。
「しょうがないのう、ブンちゃんは。」
「もう、さっさと教えろよ!」
「はぁ、せっかちさんぜよ。まぁそうじゃの。教えちゃる。」
仁王がやっと教える気になったようで、丸井は真剣な顔の仁王を見る。
「何で大丈夫かっていうと…」
「いうと?」
ゴクリ、と丸井が緊張の面持ちで唾を飲み込んだ。
「雪が―」
「吉田が?」
「作戦があるんじゃと。」
「………は?」
「じゃから、作戦。」
「はぁああああ?!おま、そんなことをわざわざここまで引っ張ったのかよ!てか、作戦なんか有効かどうかもわかんねーだろ!」
あまりの呆気ない仁王の答えにぷちっと堪忍袋の緒が切れ、思わずそう叫んだ。
「まぁまぁ、落ち着かんか。ほれ、見てみ。」
「あぁ゛?誰のせいで怒ってると思ってんだよぃ?!…って、は?」
丸井がスコアを見ると、
10―8
逆転していた。思わず唖然とする丸井。
「じゃから言ったじゃろ?」
にやり、仁王が笑った。