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第拾参話


「昨日の調査で荒らされていたのはレギュラーの部室だけど言うことが判明した」

レギュラー陣とマネージャー、それから私が部室に集められて跡部の話を聞く

「ねぇ、跡部?どうして私もここに?」

(まぁ、聞くまでもないことだけれど、ね)
ちらり、と跡部はこちらに視線を寄越し、また皆を見据える

「………もう1つわかった事があるんだ。これが見つかった」

そう言いながら彼が取り出したのは、シルクハットを被ったウサギのキーホルダーだ。もちろん、

「!それって雅ちゃんがいつも鞄に着けてたやつだよねぇ?」

私のものだ。ここで始めて愛沢サンが口を開いた、顔に歓喜の情をにじませ口元が歪んでいるのが隠しきれていないが

「あぁ、なくしたと思ってたんだけどあってよかった。何処にあったの?」
「………部室裏だ」

跡部のこの台詞に少し皆に動揺がはしる……なんてことはない。普通に考えると異様な反応だが、愛沢サンは浮かれているのか全く気づかない

「ねぇ景吾ぉ。それって、もしかしてぇ雅ちゃんが犯人ってことぉ?」

さらに彼女の顔が歪む。この異常な空気に気付かずに。通常部室裏は部員の洗濯物をほすためだけのスポットになっており、部員ぐらいしか立ち入らない。あと立ち入るとすれば―……部室荒らしとか


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