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第拾話

どこで見ていたんだか、この場にレギュラーが勢揃いする
(大好きなキャラ達が集まっているっていうのに、何でそんな顔をしてるのかな、愛沢サン?)
――まぁキミの望んだ視線じゃあないけど、ね…――

「ぁ、ちっ違うの!雅ちゃんが姫華が気に入らないって、殴ろうとしっっ!?」

どんっと彼女が全て言い終わらないうちに誰かの手が彼女を突き飛ばした

「見苦しい言い訳はやめたほうがいいC俺らはちゃあんと見てたんだから」

突き飛ばした誰か、は芥川だった。愛沢さんはさぞ意外だったのだろう、真っ黒に縁取られた目を大きく見開いている。でも私からすれば妥当な人だ。何て言ったって芥川はあの日以来、私にひどく依存しているのだから

「ただでさえ、俺たちは怒ってんだ。これ以上怒らせんじゃねぇよ」

跡部の冷えきった目線が彼女に突き刺さる

「ぁ……、ぅ……」
「自分ちょっと勘違いしとるんちゃう?俺らの“絶対”は雅なんやで?前に一回俺ゆうたよな?雅にだけは手出すなってあれでもまだ分からんかったん?」

彼のレンズ越しにでも瞳孔が開きかけているのがうかがえるまぁ忍足は1番冷静そうだが、以外とすぐに行動にでるから妥当な反応だろう。愛沢サンはさっきからただがたがたと震えているだけだ。口からは単語にすらなっていないただの音が漏れるだけだ
(それにしても、私も案外捨てたものじゃないなぁ)
多少誰かは怒るだろうと予想はしていたが、私が思っていた以上に愛されているらしい。まさかここまで全員が怒りを顕にするとは誤算だった
(この展開はちょっと面倒くさいなぁ)
今まで嬉しい誤算はあったけれど、こんなときにこんな誤算がでるなんてはっきり言って面倒くさい、主に私が。でもだからといってここまで遊んだんだから放り投げるのも何だか負けた気がする

(はぁ、面倒くさいことは嫌いなんだけどね、?それに、三谷さんによると何だか面白いことも企んでるみたいだしここは我慢してあげるよ)



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