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第仇話

「ねぇ、雅!あの話聞いた!?」
「もしかして、テニス部の私物をファンクラブが盗んだっていう話かな?」
「なぁんだ…知ってたんだ。まぁいいや、ねぇ、雅は本当だと思う?」

美歌の好奇心に溢れている目が向けられる。私がファンクラブ会長と仲がいいので何か知ってるとふんだのだろう

「多分やってないと思うよ」
「えー?やっぱりぃ?ま、雅がいうんなら間違いないよね、う〜ん、じゃあ真犯人は誰なんだろう……」

完全に他人事だから楽しんでる…

「君はどう思うかね、ワトソン君っ!」
「私は実は全部知ってるんだよ、ホームズ先生」

とりあえず悪ノリしてみる

「そうか、ワトソン君は全て知ってってえぇっ!?嘘っ!?ほんとっ!?教えて教えてっ!」

驚きのあまり作っていたキャラは完全崩壊したらしい

「そんなに焦っちゃだめだよ、ホームズ先生。っと、じゃあ私呼ばれてるから行くね?」
「えぇぇっそんな殺生なっ!こんなことじゃあ、あっし気になって眠れやせんぜぃ!」……今度は侍らしかった

「ほら、バカなことやる暇があるんならちょっとは考えてごらん。じゃあね、美歌」

後ろから聞こえる美歌のブーイングをよそに、私はある場所へ向かった


私がそこに着くと、相手は既にそこに来ていた

「あぁ、待たせたみたいでごめんね?
愛沢サン」


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