1

「ねぇ、皆にお願いがあるんだー……」


xx第壱話xx


「ねぇねぇ、雅聞いた!?」

教室に入ると朝からハイテンションな美歌が話しかけてきた。

「ん?何が?」
ーまぁ予想はつくんだけど、ね

「今日さ、転校生がくるんだって!しかも女の子っ!
どんな子だろうね?」
「へぇ、楽しみだね。」
「もー雅反応薄い!転校生だよっ転校生!
テンションあがんない?」
「十分反応してるよ。」
「もークールなんだからっ!
でもそんな雅が好きっ!」
「はいはい、ありがと」

適当に美歌をあしらいつつも、口角が上がりそうなのを我慢する。

(ふふっ楽しみだなぁ!)







「はじめましてっ!愛沢姫華って言います。よろしくお願いしますっ!」

先生の紹介で入って来たのは、ふわふわとした可愛い子だった。

栗色のふわふわとした髪を揺らしながら、お辞儀をした彼女にクラスの雰囲気は柔らかくなった。

が、次の彼女の一言に一気に雰囲気が萎えた。「前の学校ではテニス部のマネージャーをしてたので、こっちでもやろうと思ってます!」

こいつもか、皆の視線がそんな視線に変わる。


(自己紹介でここまでっていうのもレアだよねぇ)

そんな空気の中、先生が転校生、愛沢姫華に座るように指示した席はー…



「隣よろしくね!忍足君!」
「…おん、よろしく。」

クラスのテニス部の1人、忍足の隣だった。
さらには

「後ろの子も、よろしくねっ!名前、教えてくれない?」
「向日岳人だぜ!」


結局テニス部二人の近くだ。


「ねぇ、二人のこと名前で読んでもいい?私のこと姫華って呼んでくれていいからさっ」
「おぅ!いいぜ。よろしくな姫華!」
「わかったわ。」
「岳人もゆうしもありがとっ!」

(あらまぁ、積極的なことで。………それにしても視線を感じる。)
主に忍足から。


×