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第漆話

「ふふふ、何だか楽しいことがありそうだなぁ」

ついに練習試合当日、私は開始時刻の30分前に氷帝の校門についた。いざ中に入ろうとすると、黄色い集団が目に入った。――あれは立海だよね。……まぁ少し早いけどちょうどいいかな。これからの展開について少し考え直していたら向こうが私に気づいたらしい

「雅っ!?」

1人の声に皆がこちらに振り向いた。何だか、動物園のパンダにでもなった気分だった

「久しぶりだね、皆。元気にしてた?っゎわ!」
「会いたかったぜぃ(っス)!雅(さん)!」
「私もだよ、丸井に切原」

丸井と切原が飛び付いてきたのを受けとめようとしてよろつく。こけるかと思ったその時誰かに支えられ、その上丸井と切原が瞬時にべりっとはがされて、その誰かに抱きしめられた

「急に飛び付いたら雅がこけるじゃろ、もうちょっと考えんしゃい。俺も会いたかったぜよ、雅…」
「あはは、大丈夫だよ。ありがとう仁王」

仁王は何だか甘えたがりな大型犬みたいだ…後ろのちょろ毛が尻尾に見えたのではない、うん、違う「久しぶりの雅じゃき。なんか和む気がするのー」
「仁王も元気だったかい?」

仁王に抱きしめられながら話をしていると、今度は仁王がべりっとはがされた

「仁王ばかり雅を独り占めなんてずるいじゃないか。それに急に飛び付くなんて…。ブン太、赤也、明日覚えときなよ……?」

幸村だ……オプションとして後ろに閻魔様を背負っているが、そこは怯える仁王たちと一緒に閻魔様もスルーする。まぁ一応フォローは入れる。……だって何だか3人の命が消えかけている気がするんだもの

「幸村、そんなに怒らないであげてよ。せっかく会えたんだから、仲良くいきたいしね」
「まぁ雅がそう言うなら。……3人とも命拾いしたね」
「ま、まぁ元気そうな人達はおいといて、柳に真田、柳生、ジャッカル。元気だった?また会えて嬉しいよ」
「うむ、元気だったぞ!俺もまた会えてう、うう嬉しいぞ!」

相変わらずピュアだなぁ

「もちろん元気でしたよ!雅さんも元気そうで安心しました」

うん、相変わらず紳士だ

「俺も元気だった
雅がそう言う確率は89%だった」

どうやって出してるんだろうね、この数値

「俺もだ。それにまた会えてうれしいぜ」

何か前より老けた気がする。さすが立海の苦労人だよね

「ジャッカル何かと話してないで俺と話そうぜぃ」
「そうっスよ!」

……何か老けた原因が一発で分かった気がするのは、私の気のせいなのかな?

「それにしても、なんで雅さんがこんなとこにいるんスか?」
「今日、練習試合なんでしょう?だから、氷帝の応援に来たんだよ」
「えー俺らは応援してくんねぇのー?」
「もちろん応援はしたいんだけど、今日は氷帝の生徒としてきてるから…ね?」
「そんなぁ〜!氷帝ずるいっス!俺だって雅さんに応援して欲しいっス!」
「俺(私)もだよ(じゃ/です/だ)」

何かそこまで言われると悪い気持ちはしないけどここで言う通りにしたら私がつまんないしね

「本当にごめんね?その代わりコートまで案内するっていうので、今回は許してくれないかな?」
「そんな顔されちゃ許すしかないじゃないか。ふふっ相変わらず雅はずるいなぁ」

幸村はそう言ったかと思うと、私の方に手を伸ばし頭を撫でた。すると、その時

「あのぅ、立海の方ですかぁ?」


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