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愛沢姫華 side

部室で絶望的な言葉をあの女、いやまるで天使の皮を被った悪魔とでも言える人間に告げられた私は、ただ悪魔が去っていくのを漠然と見ることしか出来なかった

第拾伍話

彼女の消えた部室はただただ冷たく、私の肌をピリピリと刺激するような視線しか存在しなかった。そう、まるで私の存在そのものを穢らわしいものだとでも言うような、。先ほどの彼女を見る温かく愛おし気なものは何処にも存在しはしない

「なぁ、愛沢?」

驚くほど冷たい声に体が無条件に強張った。何で今まで私に向けられるこの視線に気付かなかったのだろう。今感じるのはただただ底知れない純粋な恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖黒で塗り潰したような恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐恐怖恐怖恐怖恐怖怖 「お前さぁ」 恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖底知れない闇のような恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖 「雅に手出しといて」恐怖恐怖 恐怖恐怖恐怖恐怖まるで狂気すら感じさせる恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖 「これで終わりなかんて思ってないよねー」 恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖

恐怖のなか変に冷静な頭の一部が勝手に機能しはじめた
(あれ?私が夢見たゆうしは、景吾は、亮は、ジローちゃんは、がっくんは、若は、チョタは、樺地は、この世界の人たちは、こんな顔をしてたっけ?あれ?私誰かに一度でもさっきみたいな、神谷を見るような目線を送ってもらったっけ?あれ?私こっちに来て友達なんていたっけ?あれ?私の本当に求めていたものはなんだっけ?)

様々な疑問が頭を駆け巡るなか狂気に濡れたいくつもの目が私を      捕 ら え た
(あぁもう狂ってしまいたい)
最後に頭に浮かんだのはあれほど焦がれたテニプリのキャラの顔ではなく、先ほどの神谷の凄艶な笑み。そこで私の意識は、消えた


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