2 「っあんた……っ!」 三谷さんの登場に愛沢サンが真っ青になり、さらに焦りの色を増した 「彼女が証拠ー?」 「そうだよ。あれ?顔が真っ青だけれど愛沢サン、大丈夫?」 視線を愛沢サンにやると、驚嘆と恐れに彩られた彼女の顔が目に入る (やっぱり人間は恐怖に歪む顔が1番だよね) 返事は無いが、話を進めることにする 「彼女の携帯にね、面白いものがあるんだよ」 私は笑みを深くする 「ねぇ三谷さん、携帯見せてくれるかな?」 「はい、雅さん」 三谷さんが胸ポケットに入れていた携帯を私に手渡そうとしたとき、愛沢サンがようやく声をあげた 「やっやめてっ!!」 視線が一気に彼女に集中する 「ふふ、それは愛沢サンがやったって認めるってことなのかな?」 「っそれは………」 「ね、どうなのかな?もう開けちゃうよ?」 愛沢サンの顔から皆彼女がやったと推測できるだろうけれど、敢えて聞くあたりに自分の性格を自覚する 「そ、……よ……」 「え?」 「そうよ!私がやったのよっ!あんたが皆にちやほやされて調子に乗ってるからっ!不細工なのに調子のんじゃないわよ!本当に愛されるべきなのはこの姫華なのよ!?私はお姫様なんだからっ!もういいわっ!こんな姫華を愛さない世界なんていらない!ちょっと神!?いるんでしょっ!?さっさと私を帰してっ」 まるでなにかがきれたかのように一気にまくし立てる 「ねぇ、愛沢サンここは“現実”だよ?帰るってどこに帰るっていうのかな?」 「、ぇ…?」 「ふふ、 愛沢姫華。お前が“ここ”に存在した時点でここはお前の“現実”だよ。現実で気に入らないから世界を棄てるなんて出来ると思ってるの?」 彼女の顔が絶望に彩られる 。人間の1番美しくて醜い顔はこの絶望に彩られた顔だと思う。まるで人間という自分の存在に嘆き底知れない暗闇へと突き落とされたかのようでとっても綺麗で奇麗だ 「さぁ、愛沢サン。私はもう行くよ、やりたいことも終わったしね。せいぜい頑張ってこの貴方が“前の世界”に居たときに切望していたこの“現実”で生きていくといいよ」 私は部室のドアノブを廻して部屋を出た ×
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