1 「……ぇ?」 「ふふ、だから、2週間前から私用の鞄に着けてたの。通学鞄に着けてたら取れそうだったからね、付け替えたんだ」 第拾肆話 彼女の目が見開かれたまま固まった 「おかしいなぁ、確か愛沢サンは私が着けてたキーホルダーを4日前に見たんだよね?何でだろうね?」 だんだんと彼女の顔が真っ青に変わっていく。 「おかしいなぁ、おかしいね。愛沢サンは有りもしないものをどうやって見たんだろう?ねえ、」 私が彼女に声を掛けると彼女は肩をはねさせる。ふふ、これだからやめられないんだよねぇ、この傍観もどきを 「教えてくれないかなぁ、その方法を」 皆に願いを告げる時のように極上の甘さをのせて、誘うように笑顔を浮かべる。彼女の口が鯉のようにぱくぱくと小さく動く 。何か言い訳を探しているのだろうか、と考えた時その口が言葉を発した 「どうせ嘘よっ!誰も覚えて無いからって嘘ついてるんでしょっ!?皆騙されないでっ!部室荒らした上に嘘までつくなんて本当に信じられない!皆目を覚ましてっ!」彼女の言葉に反応して動こうとする数人に目線で静止を告げる 「そっか、そうだよね。何事にも証拠が必要だよね。ふふ、証拠、ねえ…」 「どうせないんでしょ!?この最低おんっ」どんっ 「きゃっ!?」 「自分ええ加減にしときや?証拠ないゆうならお前もないやろ。お前に雅貶す資格なんてないゆうねん!」 「ゆうっ!」 「名前呼ぶなや、気持ち悪いねん」 (ふふ、やっぱり忍足は面白いなぁ!愛沢サンの顔が傑作だ) くすり、と笑いを溢してから私は口を開いた 「忍足、落ち着いて。私に今、証拠がないのは本当なんだから」 ぎりっと愛沢サンの歯軋りの音が聞こえた 「今?」 「そう!だから証拠を示そうかと思ってさ!」 まるで道化師のような私の喋り口に不思議そうに首をかしげる芥川 「ね、入ってくれるかな?三谷さん」 ×
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