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「雅ちゃん、そんなことするなんてひぉどいっ!人間じゃないんじゃないのぉ?」

愛沢サンがここぞとばかりに私に攻撃を仕掛ける。しかし、今回の舞台はは必ずしも彼女の利益になるように動くとは決まっていない

「愛沢、ちょっと黙っとき」
「…ぇ?」
「聞こえなかったんですか、黙っとけっていったんですよ」

予想外の二人からの言葉に頭が反応しきれていないようで彼女は黙り込んだ

「ねぇ愛沢サン、確かに私のだけれど無くしたのは1週間ぐらい前なんだけど?」

黙り込んだ彼女に今度は私が話かける。私の言葉に反応した彼女は口を開いた

「う、嘘いっちゃあダメだよぉ雅ちゃん。姫華ちゃんと雅ちゃんがそれ鞄につけてるの4日ぐらい前に見たもん!」

まさか反撃があるとは思わなかったのか少し彼女の口調がどもる

「ふ、ふふふ、あははははっ!」

私はと言うと、彼女の笑ってしまうぐらい滑稽な喜劇に耐えきれず、声をあげて笑ってしまう
(いや、彼女にとっては悲劇というべきなのかな)

「、なに笑ってんのっ!?ついには頭までイカれちゃったわけっ!?」

彼女特有の語尾の伸ばした発音がくずれる

「あははははっ!ごめん、ふふふ、あまりにもくっはは面白くて、あはははっ!」

私の予想外の言葉に彼女の怒りと……妙な焦りが伝わってくる

「っ!何がおかしいっていうのよ!?」
「ふふっ、さっきまでの余裕はどうしたのかな?それに話し方もいつもと違うようだけれど?」

私は彼女を煽るように笑顔を崩さずに余裕綽々に話す

「っ!うるさいなぁ!早く何がおかしいのか言いなさいよ!」

「あは、なら言おうかな?私ね、確かにそれ鞄に着けてたよ」

「何よっ!そんなことっ!?あんたふざけるのもいい加減にっ「ちょっと黙ってろ愛沢」!?景吾っ?景吾までまだあんな女の味方するの?部室荒らした最低な女なん」

だよ!?と彼女の言葉が紡がれる前に ばあぁんっ とロッカーを蹴りあげる音がした

「いい加減ちょっと黙ってください、愛沢」

彼の、鳳の笑顔が愛沢サンにむけられる、といっても目が笑っておらず瞳孔が開いているようだ。いつもの彼からは考えられない視線に愛沢サンの体がびくんっと跳ね、静かになった

「ふふ……でもね?愛沢サン、私それ、2週間前から私用の鞄につけてたの」


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