2 そう、今日下駄箱を開けると入っていたのだ。熱烈なラブレターが 「遅いわよっ。姫華を待たせるなんて信じらんない!」 どうやら待たせたことを怒っているらしい (というかむしろ無視せず来てあげたんだから感謝されたいぐらいだよ) 「本当にごめんね?」 「ふんっまぁいいわ!それよりあんた、何で自分が呼び出されたか分かってる?」 「さぁ?全然分からないよ」 「っあんたさっきから生意気よっ!」 どうやら私の態度が癪に触ったらしい。こんなんだから最近の若者はキレやすいとか言われるんだよ 「まぁ、いいわ!私が今日呼んだのはね、テニス部のことよっ!」 「テニス部?」 「そうよ!あんたレギュラーの皆に馴れ馴れしいのよっ!レギュラーは皆姫華のものなのっ!ちょっと仲良くしてもらってるからって手、出さないでくれる?!」 …………は? 「ふ、………ふふふ、っあはははは!」 「っ!?」 急に笑いだした私に驚いたのか、愛沢サンは目を丸くした 「っ何がおかしいのよっ!!」 「あはは、…あぁごめんね?君があまりにも支離滅裂な事言うもんだから、ね?」 正直に答えたのに、どこが気に触ったのかさらにいらいらし始めた 「何がよっ!!」 「「レギュラーは私のもの」?ずいぶんと面白い事を言うよね。前にファンクラブに「テニス部はものじゃない」とか言って独りよがりな説教してたの君じゃあなかったっけ?」 くすり、とつい笑いが漏れる。すると怒りが頂点に達したのか愛沢サンは顔を真っ赤にして声を張り上げた 「っあんたっっ!!!」 彼女の手が振り上げられた (あんまり痛いのは好きじゃないんだけど……) ぱしんっとその場に乾いた音が響いた。彼女の手が私の頬を叩き、さらに突き飛ばした 「いっ!」 勢いよく押されたものだから見事に壁に背中をぶつけてしまった。そんな私を見て、気分良さげになった愛沢サンが口を開こうとしたその時 バァンッと扉の開く音がした。扉の奥から、10個の瞳が私たちをとらえた 「……なぁ、自分、何してるん?」 静かな怒りが込められたその声は私にではなく、愛沢サンに向けられたものだ。もちろん、黙っている人の瞳にも同じそれがうかがえた ×
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