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正直、神谷さんに見られてたと知ったときやっと解放されるかもしれないと、どこか嬉しかった。けど、やっぱり1番は怖かったんだ。命令されたからとはいえ私のしたことが知れ渡って、皆に白い目をむけられるのが怖い、。……宍戸くんに軽蔑されるのが怖い。でも、神谷さん、いや雅さんはそんなことしなかった。私の苦しみを分かってくれた、理解してくれた、慰めてくれた。その上、

「私がついてるから」

そう言って微笑んで、抱き締めてくれた。もう、雅さんは天使なんだと思った

(宍戸くんも惚れちゃうわけだよね。だって、こんなにも優しい天使様なんだもん)

普通はこんな私を軽蔑する、きっと私の友達でさえ私のことを軽蔑する。それなのに、雅さんはそんなこと一切せずに私の心を第一に考えてくれた。私のことを白い目で見るんじゃなくて、私のことを心配するような優しい目で見てくれた。愛沢さんに対する恐怖と絶望でがんじからめにされていた心が、ふわりと暖かい何かに包まれたんだ

でも、こんなに綺麗な人が愛沢に関わったら汚されてしまう。そんなの今の私には宍戸くんに嫌われるより耐えられないかもしれない。

(!あぁっ!そういえば、愛沢が雅さんのことを嵌めるとか言ってた気がする…っ!そんなの耐えらんないっどうしよう!っとにかくまずは宍戸くんに返して事情を全部説明してこなくちゃっ!)
あんなに恐れていたことを自らするなんて、我ながら変わりやすすぎると思う。でもしょうがない、だって…―

天使様に出会ってしまったんだもの!

(哀れな少女は)(お姫様の手で救われた)(そんな少女は騎士となり、)(姫を守る盾となる)


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