1 もう苦しかった、毎日毎日びくびくして、あんな楽しかった学校にさえ来るのも嫌になった 第xx話 私がした行為を見られてから、愛沢さんの命令は日に日にエスカレートしていった。最初は彼女のいらいらのはけ口なだけだったから、私が我慢すればいつかは終わると思ってた。それなのにいつの間にかテニス部と仲のいい子達をいじめる彼女のおとも兼共犯者になった。いじめた子たちの中には私と仲の良かった子だっていた。もうばらされてもいいと思ったことは何度もあった。 でもそんなとき彼の、宍戸くんの顔がどうしても頭にちらつく。 両想いになれないのなんて分かってる。でも、それでも、嫌われたくなかった。彼を想ってる大勢に混ざっていたかった (恋ってこんなにつらいものだっけ……?) もう全てが嫌だった。――そんなときだった、あの命令が下ったのは 「来るのが遅いのよっ!あんまり姫華を怒らせるとばらすわよ?」 目の前のひどく歪んだ顔が、怖かった 「っ!それだけは…っ」 「ふんっ!まぁいいわ!今日はこんなことしに来たんじゃないの。ねぇ、三谷。ばらされたく、ないんだよねぇ?」 目の前の顔が、存在が嫌だった。私欲にまみれた目は、合わせるとお前もこんな目をしてるんだ、と言われてるようで体がすくむ ばきっ 「返事ぐらいしなさいよっ!姫華をシカトするなんて、生意気よっ。この私が質問してるんだから答えなさいよっ!!」 「っ!」 黙り込んでいると、頬をぶたれた 「ば、らされたく…ない、です」 「ふんっ!最初からそうやってしてればいいのよ。まぁいいわ。ねぇ、三谷にお願いがあるのよ。聞いてくれたら、ばらさないであげるわ」 今度はどんな命令が下されるのか、私はびくびくとしながら次の言葉を待った 「あのね…――、」 私は自分の耳を疑った それでも、愛沢さんの発言に従うしか道はなかったんだ ×
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