「はあ〜あ」
「どうした」
「折角の休みなのに雨なんだもん」
「任務の時じゃなくて良かっただろう」
「いやーうん、そうなんだけどさぁ、リーダーといろいろ買い物行きたかったのに」
「…」
「あ、」
「二人でいる時は名前で呼べ」
「ハイ…ねえ、今からでもどっか行かない?」
「だめだ」
「えー何でー」
「お前はすぐ風邪をひきそうだからな」
「そんなことないと思うけどなあ」
正直な所俺はぶっちぎりのインドアなのでわざわざ雨の日に外に出たくない。こうしてアジトでダラダラしている方がいい。
「よいしょっと」
「…ナナシ」
「なんですか」
「何をしている」
「抱きついてる」
「何でだ」
「たまの休みぐらいイチャイチャしたいじゃない」
ナナシは本を読む俺と本の間に入ってきている。お陰でまったく本が読めない。
俺は本を諦めてそこら辺に置いた。
「ナナシ」
「なに?」
「お前ちょっと太っただろ」
「…!」
「図星か」
「まあ…ちょっとは、はい」
「俺は反省した、もうお前に甘いもんをやりすぎるのを止める」
「えっ!」
「当然だろう」
「いや〜あの〜、私ちゃんと運動もしますし野菜も摂りますからそれは何とかなりませんかねぇ…」
「いや、俺は決めたぞ。結構肉がついてきたな」
ナナシのくびれから腰の辺りまでをさすりながら言う。
「うう…確かに最近太ったけどさ…」
「ついてほしいとこにはつかないもんなんだな」
「ハイ?」
「いや何でもない」
「何か言ったよね」
「俺は太ったナナシも大事にするぞ」
「そういうことじゃあないんだけどな〜」
「ナナシ、俺は嘘はついてないぞ」
「分かってる、私に肉が増えたことも、つくべきところについてないことも本当だもんね」
「気にしてたのか」
「当たり前じゃないの!」
「豊胸とかはするなよ」
「しません!」
「うちのチームにそんな金は無いからな」
「あってもしないです」
言ってる事は嘘じゃない。女ってのは何でこうスリムというものにこだわるんだろうか。ナナシは最近確かに肉がついてきたがそんなに気になる程ではない。と言うよりチームの誰も指摘しなかったんだから、俺以外の奴らには気付かれない程度だ。気を遣って言わなかったということも考えられる。だがそんなに気遣える奴らではない。デリカシーなんてもんこのチームにはあんまり無い。
ただ、ボンキュボンなナナシを想像してみて、悪くないと思ったのは言わないでおこう。