「え、メローネ?」
「やあナナシ、どうしたんだい」
「あの、それはこっちの台詞っていうか…えっ、熱でもあるの?」
「まさか!オレだってたまにはこういう服を着たくなるもんさ!」
「…(やだちょっとかっこいい)」
「あれ?あれれぇ〜〜?ナナシ、オレがこういう格好したらちょっとかっこいいとか思ってる?」
ニタニタしながら近づいてくる。
「そんなことないです」
「またまた〜素直じゃないんだから!そこも可愛いなあよしよし」
そう言って私の頭をクシャクシャと撫でた。メローネは今黒い細見のスーツを着ている。いつもの服はどうしたんだ、あの奇抜で奇妙な服はどうしたんだ。ああいうのは卒業したのかな。だとしたらとってもいい傾向だ。そもそもメローネは顔はかっこいいし体型も綺麗なので、こうしたピシッとした服装をすればそりゃ様になる。
「おい早くしろ」
「ハイハイ今行きますよー!」
「え?これから任務なの?」
「うん」
「えっじゃあ、もしかしてこの格好は任務のために用意された服なの?」
「そうだよ。オレがこんな地味な格好好んでするわけないだろう」
「なーんだ。」
「なーんだって何だ。」
「いやちょっとかっこよかったなーって思って」
「え!?マジで!このオレが!ちょっとかっこよかった!?ホントに!?」
「、おぉうん、ちょっと」
「ねーーーリーダァァァア!あのね今ナナシがオレのことすごいかっこいいって言った!」
「話盛らないでよ」
「いやあもうほんと生きててよかった…オレのことかっこいいだって…うっ」
「え、ちょっとなに」
「いやあ…ぐすん、感極まって…ナナシが、いつも貶してくるナナシが、かっこいいだって!オレのことを!」
「…早くしてくれないか」
痺れを切らしリーダーがメローネのところへ来る。
「リーダー聞いてくれッ!いまナナシがオレのことすっごくかっこいいって言ったんだ!」
「何でコイツは泣いてるんだ」
「あーその、事故っていうか…」
「感動の涙だ!あァ〜オレ今日の任務も死なないように頑張ろう」
「是非そうしてくれ」
「ナナシ!」
「は、ハイ」
「オレ絶対死なないから!だから、無事に帰ってきたら褒めてくれ!さっきみたいにすっっごくかっこいい極上の男だって!」
「(そこまで言ってない)分かった、分かったから早くしないとリーダーが怒るよ」
「もう怒っている」
「ほらもう、気をつけて行ってらっしゃい」
「ナナシーッ、約束だからな!」
ズルズルと首根っこを掴まれ引きずられるようにメローネは任務へ行った。
内心、ナナシはこんな事でメローネが死なないように頑張るとまで言ってくれたことが嬉しかった。あの男は変態で性格が雲のようにころころと変わり、一度わがままを言い出したら相手が承知するまでとことん我を通すような、絹豆腐みたいに扱いづらい奴だ。その反面、今回のようにちょっとした出来事が彼の電源を入れる。単純だ、とても馬鹿なやつだ。
「うふふ」
ナナシは、メローネが帰ってきたら、何て言葉をかけてやろうか考えていた。
「…お前上手いことやったな」
「でっしょ〜!だってさ、ナナシが素直になることなんて滅多にないぜ?」
「そりゃそうだ」
「ウフフ、でも今回の任務がただのパーティーの給仕だなんてね!」
「死ぬわけがないだろうな」
「ナナシはオレが命を懸けて戦ってると思ってるよね絶対。可愛いなあ全く…オレ早く帰りたい」
「早くても明日の早朝だぞ」
「えぇッ!?ヤダヤダ!今日の夜に帰ろう!」
「無理だな」
「そんなァ!あーでも焦らしたほうがいいかもなァ。どうしようナナシの使用済みパンツとか貰えちゃったら!」
「…」
「はァ〜〜…なんだよリーダー、リーダーには貸さないぞ」
「間に合ってる」
「えっ?」