6年後のナメ郎とポコミ












あれから、もう6年経っちゃった
早いなぁ



ボーボボはどうしてるかな
パッチンとプルルンも


…なめっちも



ちょっと先にあった木。
なめっち、よく休み時間とかああいうとこで寝てたなー


ちょっと遠い木に手をかざす。
くっ、と力を込めたら一瞬で木は木っ端微塵に飛び散った。

あ、お兄ちゃんにむやみやたらに力を使うなって言われてた……まいっか


(いやいやいや!!!全然良くないよ!!!!?)

お義姉ちゃんの声がした。


こんな風に破壊しちゃっても、なめっちは出てこない。

だれも怒ったりしない


ねぇ、なめっち

ポコミ、今日16歳になるんだよ

もう高校生なんだよ

ひとりで行っちゃったなめっちと、同じになったんだよ


結婚だって出来るんだよ






普通の学校も楽しい

友達もたくさんいるし、アカデミーでは教えられなかったこともいっぱいある



でも、足りない



ピースの欠けたパズルはいつまでも未完成で



会えないことが非日常だったのに

今は会えないことが日常



あいたい





風が吹く。
いつもと同じように二つに結んだ髪が、後ろへ靡いた。

振り向いて

そう言ってるみたいに


風の吹くままに首を動かす。




不自然なほどに鮮やかだった緑は、以前のような焦げ茶に戻っていたけど

ブレザーの制服も、帝王の衣装も身に付けてはいなくて



「よぉ、」


つり上がった真っ黒な瞳は、ずっとずっと優しくて


たくさんの敵を見てきた観察眼は未だ冴えているのに、身体も口も動かない。


「16にもなって、まだそんな髪してんのかよ」


目が熱い。
ほっぺも、胸も、
心も。



「なめっ、ち」

「久しぶり、ポコミ」


なんでそんなに優しいの?なんでそんなに笑ってるの?

なんで、ここにいるの?


言いたい言葉はいっぱいあるのに、出てこない



「俺は、見つけた。
自分の道ってヤツを」


黒い目が、真っ直ぐ見てくる。



「俺はお前と、生きたい」


風が吹く。
今度は、ポコミとなめっちの間に。


「お前と一緒に居られればそれでいい」


なめっちは、答えを出したんだ

じゃあ、ポコミも出さなきゃ


「……ポコミも!!」



歯を出して笑った。


「ポコ、ミ?」


なのに、


「あ、れ…?」


ぽた、ぽたって落ちた水。

これって、涙?


そういえば、なめっちがいなくなって寂しかったけど泣かなかった



「違…うよ、なめっ、ち…悲し、くないんだよ…っ」


悲しくないけど、寂しかったのと、嬉しいのがぐちゃぐちゃになってる。


せっかく、会えたのに


空いた距離を破って、なめっちが近づいてくる。

何をするのかな


苦しい息の間思っていたら、片手で頭を鷲掴みにされてなめっちの胸に押し付けられた。

不器用に頭を撫でられる。

「泣くな…っ、お前が泣くと調子が狂う」


あ、動揺してる

どんな顔してるかな?


……ていうか、ハグ下手だなぁ


とか何とか思ってるうちに、涙も止まってきて息も楽になった。

顔を上げると、

「なめっち、」

「ぉ、おう」


「おかえりっ」

ぎゅぅっと抱きつく。
なめっちは、少しだけ動かない。


「……ただいま


あと、誕生日おめでとう」
おまけのように言った一言も、ちゃんと聞いてた


「ありがと、覚えてたんだ♪」

「あれだけ毎日言われたら嫌でも覚えた」

一瞬だけ嫌そうな顔をしてそう言うなめっち。


「あはっ☆あ、プレゼントは?」

さー、となめっちから色が抜けた。

「…忘れてた」

「そっか、ま、なめっちは昔からプレゼントくれたことないしね♪」

「……わりぃ」

申し訳なさそうにするなめっちが、すごく珍しい。

こんな顔、絶対しなかったのに。

ちょっとだけ、考えた。



「……じゃあ、プレゼントはなめっちがいい!!ポコミももう16歳だしね♪」

「はぁ!!!?」


なめっちの顔が爆発した。
なめっちはやっぱこうでなくちゃね!!







記念すべきプレゼントは、なめっちできまり♪


***



「ポコミ遅いなぁ…」

「へっくん、まだ5時30分だよ?ポコミちゃんも高校生なんだし…」

「まだ高校生だからこそ危ないんだ!!!
いつどこでどんな野郎がポコミをつけ狙っているかわからないしそもそも毎日一人で学校に行くのが……(エンドレス」

「(シスコン……)誕生会の準備も万端なのにね…はい、コーヒー」

「ああ、ありがとう……全くポコミの奴…」



「たっだいまー☆」

「あ、おかえり。ポコミちゃん」

「ポコミね、なめっちもらうことにしたよ☆」


「ぶはぁッ!!!!」



2012/03/26




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