■ 繋いだ手
『ハロー!銀ちゃん!』
「なぁにがハローだ。何しに来たんだよ、お前は。」
『えー、銀ちゃんに会いに来るのに理由がいるの?』
「可愛く言ったって駄目だかんね、銀さんは騙されないよ!」
可愛く言ったつもりはないけど可愛いって思ってくれたのかな?
『銀ちゃーん、遊ぼうよ。てか、遊んでよ!』
「銀さんは忙しいんですぅ。なんで紗邏の相手なんかしなきゃいけないんですかー?」
ムカッ
『何が忙しいよ!新八君も神楽ちゃんも居なくて寂しい癖に!!折角、二人が居ない間構ってあげようと思ったのに!銀ちゃんなんか知らない!!』
私は苛立ちを隠せないままよろず屋を後にした。
『何が忙しいよ!!本当にもう銀ちゃんなんか知らないんだから!』
「おい、そこの姉ちゃん邪魔ですぜィ。」
『……………』
「紗邏の分際で俺を無視するとはいい度胸でさァ。」
『うるさい、ドS沖田。』
「また、よろず屋の旦那にフラれたんですかィ?」
『フラれてません、告白すらしてません!』
「紗邏はへたれで意気地無しで逃げてばかりのヤローでしたか。」
『なんか一々ムカつくんですけど?』
「俺は励ましてるつもりですぜィ。」
『全然励ましてないから!寧ろ馬鹿にしてるから!』
「それにしても紗邏はなんでよろず屋の旦那がいいんですかねェ?」
『どう言う意味よ!』
「もっと似合うヤローがいるって事ですぜェ。」
『いないもん!』
沖田は私の前に来てニッコリ笑って
「ここに居ますぜェ。」
『えっ?』
沖田の唇が触れそうな距離まで近づいていた。
『駄目!初キスも初エッチも銀ちゃんって決めてるんだから!!』
「だそうですぜィ、旦那。」
『え?!』
後ろを振り向くと銀ちゃんが照れ臭そうに頭をかきながら立っていた。
『ぎゃー!なんで居んの?!恥ずかしい、恥ずかしい、穴があったら入りたい…』
「穴ならありますぜィ。ほら、あそこにロープがない深い井戸が。」
『あ、本当だ。』
銀ちゃんにコクる前になんであんな破廉恥な事聞かれちゃうなんて!!
私は沖田にススメられた井戸に向かった。
「だー、何、本当に入ろうとしてるの紗邏ちゃん?!あそこ、入ったら出れないから寧ろ入るには落ちちゃうから!!」
「本当に入ったら意気地無しの汚名返上ですぜィ。」
「沖田くんも何紗邏に吹き込んでるのかな?!あー!!紗邏ちゃん止まってくんないと銀さん泣いちゃうよ!」
『銀ちゃん泣いちゃうの?』
「うん、泣いちゃう。だからやめよーね?」
そう言って手を差し出してきた銀ちゃん。
私はその手を強く握りしめた。
「ちっ、おしかった。」
「おしかったじゃなーい!!ホント君はなにぬかしちゃってるかな?元はというと君が紗邏に…………」
銀ちゃんが沖田に何か必死に言ってるみたいだけど私には全然話が入って来なかった。
だって強く握られた手は汗ばんでて、額からも汗が垂れてて、私を探し回ってくれたのがわかって嬉しかった。
『銀ちゃん、そんなドSほっといて帰ろう?』
「紗邏がそう言うなら帰るか、じゃ紗邏が世話になったな。」
沖田を背にして歩き出した。
「旦那!!次、紗邏を泣かしたら「わかってる、泣かさねぇさ。」
私と銀ちゃんは家まで手を繋いで帰った――――
=あとがき=
初書き銀/魂です!!
銀さんが1番票が多かったので書いちゃいました。
銀/魂はやっぱり会話が多くなりますね(≧ε≦)
紗邏様、最後まで読んで頂きありがとうございました♪
2012.9.1
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