■ 変わり者のお前

『おい、お前。俺の千鶴から離れろよ。』


教室で千鶴に抱き着くヤツがいる。


「えー!千鶴ちゃん可愛いんだもん。」


『何が“えー”だよ。気持ち悪い。』


「相変わらず、薫君は酷いなぁー。泣いちゃうよ。」


棒読みで言ってくるコイツは桜彼愛、幼なじみだ。


「顔は千鶴ちゃんとそっくりなのに性格悪すぎー。」


『煩い、そういうヤツは晩御飯抜きだね。ね、千鶴。』


俺達の親は共働きで夜はいつも一緒に食べている。


「ヤダヤダヤダ!やーん、薫君許してー。てへっ」


『…っキモい、腕を掴むな。』


俺の腕に胸を押し当てながら首を傾げ謝る愛。


あー、可愛い。


これはわざとか?


いや、コイツは馬鹿だ。
計算してる訳がない。


という事は俺の事、男だと思ってないのか?


「薫、言い過ぎだよ。愛ちゃん本当に泣いちゃうよ。」


『千鶴は甘すぎなんだよ。それに、これくらいでコイツは泣か「グスッ」え?』


「薫君のバカー!!うわぁーん!」


大粒の涙を流し、走って行ってしまった。


「もう、どうするの?薫。」


『追い掛ければいいんだろっ』


俺は追い掛けるしかなかった。だって、愛が初めて泣いたんだから。


「二人とも気付いてないのかな…どう見ても両思いなのに。」


愛の家に着き、部屋に行くと布団の中で泣いていた。


「グスッ」


『お前はいつまで、そうやって泣いてるつもりなんだよ。』


返事をしない愛。


『はぁ、イライラするな。なんか喋りなよ。』


「うっ、う…だって、ヒック、薫…君は…私の事、嫌い…なんでしょ…」


また、泣き出す愛。


「薫君は私の事、名前で呼んでくれないし…」


………これって、もしかすると……


『愛は俺が好きなの?』


ビクッとなり


「そうだよ。薫君が好きなの!いつもアピールしてるのに平然としてるし、キモいとか気持ち悪いとか…揚句に幼なじみのに名前すら呼んでくれないから…」


俺に背を向けて言っている、その顔が赤くなってるのはわかってた。だって…


『耳まで真っ赤にして、なに必死にコクなってるんだよ。』


俺は後ろから愛を抱きしめ


『俺も愛が好きだよ。だから、こっち向きなよ。』


ゆっくりとこっちを向く愛。


「ホン…トに?」


『そうだよ。でも愛は変わってるね。あれだけ毎日、悪態つかれてたのに。』


「昔からだし、そんな薫君を受け止めれるのは私だけだもん。」


『その割には今日は泣いてたけどね。』


「うっ、今日は、そのあまりにも女として見られてないのかと思って。」


俯く愛をさらに強く抱きしめ


『まぁ、俺の態度は愛情の裏返しって事だよ。それくらい気付きなよ。』


「わかったよ。でも、せめて名前は呼んでね。」


『あはは。考えとくよ。』


そうだね、愛から告白してくれたんだ。
名前くらいはね。


『それ以外はこのままでもいいんだ。やっぱり、変わり者だね愛は。』


頬を膨らませながら


「むー。悪態ついても薫君は優しいから好き。」


『俺はそんな愛が好きだよ。』


そう言って優しく愛の髪を撫でた。


「うふふ。」


『あ、そうだ。これからは千鶴に抱き着くのはやめなよ。』


「えー、なんで?」


『抱き着くのは俺だけにしろってことだよ。』


これは少しだけのヤキモチと独占欲。


だから守ってよね?愛。










=あとがき=
薫君ってこんな感じでいいのかなぁ”(ノ><)ノ
なかなか難しい攻略外キャラ(;∇;)/~~

愛様、最後まで読んで頂きありがとうございました♪
2012.6.8

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