■ 愛言葉

「総司くん!」


『なぁに?……クスクス』


いつも笑顔で愛ちゃんが僕を呼ぶ。


この後に続く言葉は決まってる。


「大好きだよ。」


ほらね。


だから僕、笑っちゃった。


『知っているよ。』


いつも「もー、“知っているよ”じゃないよー。」と抱き着きながら拗ねる君が可愛くて、今日もそう答えた僕。


「…………」


でも愛ちゃんは下を向いたまま黙っていた。


「…………」


『…………』


沈黙がとても怖かった。


そう感じた僕が愛ちゃんを抱きしめようとした時、


「………じゃないっ」


愛ちゃんは涙をこらえながら僕を見上げ


「総司くんはいつもそればっかり!私が聞きたいのはそんな言葉じゃないっ――。」


ドンッ


そう言いながら僕を突き放し、部屋を出て行った。


一瞬、何が起こったか分からなかった。


『―――愛ちゃんっ』


僕は急いで追い掛けた。


さっきまで晴れていたのにこんな時に土砂降りの雨。


これは愛ちゃんの涙かな…


そう思いながら街をあちこち探し回る。


そういえば僕、愛ちゃんに気持ち伝えてなかったっけ…?


拗ねる君が、笑顔で僕を抱きしめる君が、可愛くて、可愛くて大事な言葉伝えてなかった。


こんな僕に愛想尽かせちゃったかな。


いつも愛ちゃんが僕にくれてた


“愛言葉”


沢山の愛情に僕は答えてなかった。


こんなにも君が…


僕の掛け替えのない人。


この先の言葉は、この気持ちは君に直接伝えたい。


そう思っていたらいつの間にか僕は愛ちゃんと初めて会った公園に来ていた。


そこには


『愛ちゃん!!』


僕を見て逃げようとする君を腕の中に閉じ込めた。


泣くのを我慢しながら震える愛ちゃん。


こんなに濡れちゃって、目も真っ赤。


僕のせいで悲しい思いをさせたね。


だから、伝えるよ。


『ごめんね、愛ちゃん。』


「………グスッ」


『僕は君が好きなんじゃない…』


ビクッと反応する愛ちゃん。


違うんだよ、僕はね…


『愛ちゃん――、君を愛してる。』


僕を見上げ、笑顔で泣き抱き着く愛ちゃん。


これがそう――、僕の


“愛言葉”










=あとがき=
いかがだったでしょうか?
短編って難しいですねf^_^;

愛様、最後まで読んで頂きありがとうございました♪
2012.5.27

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