■ あんたの相手は俺だけだ

いったい、これはどういう状況なのだ。


「平助君、付き合って下さいよ。」


「だから、無理だって!!」


「なんでですか!!私のこと、嫌いなんですか?」


「ちげぇよ。なんで、そうなるんだよ。」


…付き合う?
平助と愛がか?


一方的に愛が言っているようなのだが


「嫌いじゃないなら、なんで無理なんですか。」


走りながら平助を追いかける愛。


平助が最後に何を言っていたかわからぬが愛が笑っていた。


俺は苛々しながら中庭に向かった。


シュッシュッ


刀を握り、素振りをしてみるが、先程の愛と平助を思い出し気が散ってしまう。


これでは駄目だと手を止めると


大きな音を立てながらこちらに向かって走ってくる雪村が見えた。


「斎藤さん!!」


『どうした、慌てているようだが。』


「へっ平助君が大変なんです!」


俺の腕を掴み、道場に連れて行く雪村。


『何故、急いでいる。』


「愛ちゃんと平助君が…っ兎に角、斎藤さんが行かないとっ。」


愛と平助だと?


また、苛々してきた時


「ギャーー、もう無理だって。」


「平助君、さっき付き合ってくれるって言ったじゃないですか!」


このような場所でまた付き合うなどと


「一君、助けてくれー。」


平助は走ってくるなり俺の後ろに隠れた。


そこに追いかけてきた愛。


「斎藤さん、そこをどいて下さい。」


“どいてくれ”だと?


俺の中で何かが切れた。


ガシッ


「は、一君!?」
「さ、斎藤さん!?」


驚く平助と雪村をその場に残し、愛の腕を掴み、中庭まで引っ張って行った。


「いっ痛いです、斎藤さん。」


はっとして手を放した。


『すっすまない。』


「斎藤さん、怒ってるんですか?」


『……怒ってなどいない。』


「嘘ですね、土方さんみたいにここ、皺よってますよ。」


ふふっと笑いながら指で俺の眉間を触る愛。


可愛らしいなと口が緩んでしまった。


『あんたは何故、平助を追い回していた。』


「それは平助君が付き合ってくれるって言ったのに、逃げるからです!」


めんと向かって言われるとは思わなかった。


『あんたと平助はそのような関係だったのか…。』


「なに言ってるんですか?斎藤さんも知ってるじゃないですか。」


『知らん、あんたと平助が恋仲など。』


目を見開いて、呆れた顔で


「違いますよ、何を言ってるんですか?打ち合いの相手ですよ。」


『………すまない。』


俺は勘違いをしていたみたいだ。


そういえば平助が何やら嫌がっていたな。


愛の刀の腕は総司並でその上、体力が並ではない。
俺ですら押されてしまう時がある。


「斎藤さん…」


にこりとし俺に近付いてくる愛。


『なっなんだ。』


「嫉妬したんですか?」


『―――っ!』


「違うんですか…、そうだったら嬉しかったのに。」


残念そうに下を向く愛の腕を掴み


『あんたの相手が出来るのは俺だけだ、だから今度からは平助ではなく俺を誘ってくれ。』


笑顔で俺を見て


「はい!!」


そう言って俺を引っ張っていく愛。


『どこに行く。』


「決まってるじゃないですか、相手してくださいよ!」


嬉しそうに道場に向かう愛を見て俺は微笑んだ。










=あとがき=
やっとこさできました♪
幕末って難しい(ノ△T)

愛様、最後まで読んで頂きありがとうございました♪
2012.6.15

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