■ あなた萌えな私

『はーじめちゃん!』


ドンッ、ガシッ


「―っ、愛。」


私は勢いよく一ちゃんに抱き着いた。


『おはよ。一ちゃん!』


「おはよう。そして、抱き着くのはやめろ。」


『えー、ヤダ!!』


「愛、“ヤダ”ではない。周りが見ている故、離してくれ。」


只今私は学校の門で抱き着いている為、他の生徒に見られている。


『い・や・だ!関係ないもん。私はいつでも一ちゃんに抱き着きたいの!』


「そう言われても、俺は仕事がある。離してくれなければ風紀を正せないだろう。」


私の彼、斎藤一は風紀委員の為、毎朝門で生徒をチェックしているのだ。


『むー(一ちゃんはそう言うけど、その仕事のせいで朝、一緒に登校出来ないんだからね!)』


そう心の中で言いながら、更にきつく抱き着いた。


「ねー、朝っぱらからウザいよ、愛ちゃん。」


『出たな、沖田総司。』


「なんで、いつも僕はフルネームかなー。」


『いつも私と一ちゃんの邪魔するから!』


沖田総司は今もそうだけど、休み時間もお弁当の時間も下校も絶対いるんだよ。


こんなにいるって、あんた一ちゃんが好きなのかよって。


コイツは敵だ。


恋のライバルだ。


『シャーー』


猫の威嚇みたいに喧嘩?(一方的だけど)をしていたら


「総司、愛を怒らすな。」


と言いながら私の頭を撫でた。


『やーん。一ちゃん、大好きー。』


「あぁ、ホント。鬱陶しいよ。」


『煩い。ほっといて教室行けばいいじゃん。』


そう言い返していると困った顔で一ちゃんが


「はぁ…愛、そろそろ離してくれぬか。」


ガーンッ


今、ため息ついたよね?


嫌われた?
飽きれられた?


『…………』


ショックを隠しきれない私。


それを見ながら笑う沖田総司。


「クスクス。でも、一くん。そう言いながら自分から愛ちゃんを剥がした事ないよね。」


ん?そうだ。


沖田総司の言う通り、毎日抱き着いているが一ちゃんは“離れろ”と言うが無理矢理、剥がされた事は一度もない。


そう考えるとなんか嬉しくなってにやけていると


「何故、あんたはそのような事を言う!」


「だって、本当の事でしょ。一くん、愛ちゃんの事、大好きだもんねー。」


「――っ!総司!」


お腹を抱えて笑う、沖田総司。


未だ抱き着いていて、なぜそんなに笑っているのかと気になり一ちゃんを見ると――。


『一ちゃん……顔、真っ赤だよ。』


「愛っ!」


あぁ、照れてるなんて。


可愛い…
可愛すぎるよ、一ちゃん。


『一ちゃん……』


チュッ


「――っ」


私は真っ赤な一ちゃんの頬にキスをして


『私はあなたに萌えなんです。可愛すぎるよーー!』


と叫びながら走って教室に向かった。


「可愛いのはあんただ。」


その後、数日に渡り沖田総司にいじられる一ちゃんがいたのでした。










=あとがき=
ギャグっぽく書いてみましたがいかがでしたでしょうか?

愛様、最後まで読んで頂きありがとうございました♪
2012.5.29

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