君の瞳は恋の色〜桜散る頃に〜 | ナノ




【2】



土方Side




イライラ―――イライラ―――


『おい、てめぇらやる気はあるのか!!』


「土方さん、八つ当たりはやめてくださいよ。」


『総司、てめぇは先生て呼べねぇのか!』


イラついてる理由はわかってる。


「僕だって、左之さんと桜麗ちゃんが何喋ってるか気になってるんですから。」


さっきから原田と桜麗がむこうで二人で喋ってるやがる。
それが気になって仕方ねぇ…


『うるせぇ、10分休憩だ。』


「あー、はいはい。」


流石に総司でも呆れるくらい俺はイラついてたんだろうと頭を冷やすため、水道に向かった。


バシャッ


頭から水をかぶり、垂れる水を眺めていた。


『何やってるんだ、俺は。』


女に困ったこともねぇ俺が小娘一人にはまるなんてな。
昔からの知り合いとはいえ、一生徒。
そんなことが許される訳がねぇ、そう思っていると


「土方先生…どうしたんですか?」


心配そうに俺を見ながらタオルを渡す桜麗。


『暑くて集中出来なくてな。心配するな。』


「そうなんですか?じゃあ、冷たい飲み物お持ちしますね。」


そう言って取りに行こうとした桜麗の手を掴んだ。


「…土方先生?」


『………呼べよ。』


「え?」


『昔みてぇに名前で呼べよ。桜麗。』


「え、でも…学校の皆さんがいますし」


『周りも昔からの奴らばかりだ、気にするな。』


「じゃあ…トシにぃ?」


少し恥ずかしそうに俺を呼ぶ桜麗。


『なんだ?』


「えっ、トシにぃが呼べって言ったじゃないですか!」


『すまねぇ、久しぶりに呼ばれて嬉しくてな。』


そう言って頭を撫でると


「やっぱり、頭撫でるんですね。」


『嫌なのか?』


「原田先生にもさっき言ったんですけど、子供扱いされてるみたいで嫌なんですよ!」


『餓鬼が何言ってやがる。』


更に頭を撫でると頬を膨らませ


「もう、いいですよ、」


と拗ねる桜麗。


『ほんとお前は可愛いな。タオル、ありがとな、』


そう言って道場に戻ろうとした俺の裾を掴み


「なにかあったら言って下さいよ。その為のマネージャーなんですから。」


と顔を真っ赤にして言ってきた。
その反応はどういう意味かはわからねぇが、今は俺だけに向けていると感じたかった。


『あぁ、頼りにしてるぞ。』


そして、俺は道場に戻った――――


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