■ 斎藤さんと雪村から一歩踏み出そう

夕餉の為に広間に集まりだす幹部達。
だが広間から聞こえた千鶴の少し怒った声に障子にかけた手を止めた。


あ、またかと思う原田と土方。


「斎藤さん。」


「…………。」


「斎藤さん!」


「…………。」


斎藤の名前を呼ぶのをやめた千鶴。
そんな二人の空気は重たくて、中々広間に入れない幹部達。


「……雪村。」


「…………。」


「……雪……ち、千鶴!」


「なんですか、一さん?」


少し明るくなった千鶴の声に幹部達は胸を撫で下ろし、広間に入ろうとしたがまた手を止めた。


「な、何故、怒っている?」


斎藤、空気を読め。と思う原田と土方。
藤堂と永倉は千鶴が何故怒っているかわかっていないようだ。


「…なんで、返事をしてくれないんですか!」


「雪村が名前を…」


「それは斎藤さんが悪いです!」


千鶴が斎藤と呼ぶのは斎藤がいつも雪村と呼ぶ為、意地をはっているからだ。


乙女心のわかる、原田と土方は斎藤は照れ屋だからな…だが好いた女ましてや恋仲の女をいつまでも名前で呼ばないのは駄目だろうと思っていた。


「ゆ…千鶴。すまぬ、許してくれ。」


「じゃあ、ずっと名前で呼んでくれるなら許してあげます。」


「わかった。では、俺の事も…」


「ふふっ、はい。一さん。」


自分で頼んでおいて、顔を真っ赤にする斎藤。
そんなところも愛しいと思う千鶴。


「一さん、もうすぐ皆さんが来ちゃいますよ!早く夕餉の準備終わらせましょう。」


「…ち、千鶴っ」


「えっ?」


斎藤は千鶴の腕を引っ張り抱きしめた。
甘い空気になる広間に痺れを切らした幹部達。


バンッ


「斎藤!そういうことは二人の時にしやがれ!」


「!!」
「ふ、副長!」


恥ずかしがる千鶴に焦る斎藤。
二人は急いで夕餉を広間に運んだ。


「土方さん。」


「なんだ、原田。」


「千鶴と斎藤を同じ日に当番にするのはやめようぜ。」


「そうだな。」


うんうんと頷く幹部達でした。










=あとがき=
夢小説もいいですが、千鶴ちゃんが好きなので勢いで書いたものです。
日記にあげていたのですがこちらに移動しました。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
2013.10.5

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