■ Moon Light[前編]

月明かりが差し込む何もない部屋。


ここに居るのは彼女の愛と俺。


物音一つしない静かな二人だけの時間。


『愛、逃げるな…』


俺は愛を捕まえた。


お前無しでは生きられなくなった俺。


愛想のいいお前が他のヤツと言葉を交わす度、黒い感情が俺を狂わす。


いっそ誰かに取られてしまうなら…


そうして俺はお前を閉じ込めた。


『ただいま。』


いつもなら返事が来るのに今日はなかった。


嫌な予感がして部屋に向かった。


暗い部屋で俺が見たのは


『愛!!』


月明かりで輝く愛の涙。


俺が何をした?


すべてお前の為なのに


悲しむ愛に気づけなかった俺がこの惨劇を作り出したのか?


微笑んだまま首を吊した愛。
もう後戻り出来ない…


『俺もすぐ逝くから。』


愛の体を下ろし抱きしめ、腕にナイフをつけた。


俺があの時、目にした泣き微笑む意識のない愛が“待ってる”と言っていた。


だから、早く傍に…


俺を一人にしないでくれ愛のすべてが俺のもの。
だから愛の元に逝くよ


誰も邪魔出来ない二人の世界へ


月明かりが差し込む何もない部屋。


ただ残るのは冷たい体の愛と俺。


固く抱かれた体は離れる事はなかった――










=あとがき=
短くてすいません(>_<)
昔、書いていた詩をアレンジしてみました(o^∀^o)

愛様、最後まで読んで頂きありがとうございました♪
2012.6.3

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