■ 宝物
「愛、卒業したら俺の嫁さんになってくれねぇか。」
『はいっ、原田先生!!』
「愛、今、原田先生はねぇだろ。」
『あっ、えっと、はい。左之助さんのお嫁さんにして下さい!』
こうして私と原田先生、じゃなくて左之助さんは卒業後、結婚した。
それから半年
「愛、重い物を持つ時は俺を呼べって言っただろ。」
『これくらい大丈夫ですよ。過保護過ぎますよ、左之助さんは。』
「当たり前だろ?お前と腹の子が大事なんだからよ。」
そう、今私のお腹の中には大好きな左之助さんとの赤ちゃんがいる。
卒業間近で左之助さんが早く子供が欲しいなんて言うから、避妊するのを止めたら卒業式の日にはなんと三ヶ月目に入っていた。
もうすぐ、出産予定日。
だから左之助さんはいつも以上に大切にしてくれる。
『パパは心配し過ぎだよねー?あっ』
「どっどうした!?」
慌てて私の元へ来る左之助さんの手をお腹へと運び
『この子も心配し過ぎって言ってますよ、ふふっ』
赤ちゃんは元気に私のお腹を蹴っていた。
「元気なヤツだな。」
左之助さんはとても嬉しそうにお腹を撫でていた。
「早く出てこい。でも、ママはやらねぇからな。」
『赤ちゃん相手に何、言ってるんですか。』
さっきまでの笑顔が消え、真剣な顔で私を見て
「愛は俺のだ。いくらコイツでも、やるわけにはいかねぇ。」
『左之助さん…』
「愛、愛してる」
左之助さんら私の顎を持ち、深いキスをした。
それから数日が過ぎ、出産予定日に陣痛が来た。
左之助さんは授業があり、学校に行っていたが、付き添いで来ていた千鶴ちゃんが学校に電話をしてくれて、すぐに病院に来た。
「原田先生、落ち着いて下さい。」
「あ、あぁ、わりぃ千鶴。」
「そんなに心配なら中で一緒に居てあげたらどうですか?」
「そうだな。ありがとよ、千鶴。わりぃけどこのビデオカメラ預かっててくれ。」
「わかりました。頑張って下さいね、お父さん。」
「おう!!」
私は力みながらお母さんって大変な思いして産んでくれたんだと実感しながら、少しの不安を抱えながら堪えていた。
その時…
「愛、頑張れ!もう少しだ。」
左之助さんが私の手を握り、励ましてくれた。
手の温もりがさっきまでの不安を取り除き、私はもうひと踏ん張りした。
「オギャー」
最後の痛みは喜びの痛みに変わった。
「愛、産まれたぞ。元気な男だ!」
助産婦さんが赤ちゃんを私の元へ運んできた。
私は嬉しくて涙を流しながら赤ちゃんに触れ
『元気に産まれて来てくれて、ありがとう』
その横から左之助さんが私の涙を拭いながら
「愛、よく頑張ったな。俺の大事な宝物だ。ありがとよ。」
『左之助さん…私、少し不安だったの。でも、手を握ってくれたから私、頑張れたんだよ。ありがとう。』
「愛…これからももっともっと二人を大切にするからよ。」
そう言って左之助さんは私ごと赤ちゃんを抱きしめてくれた――――
=あとがき=
リクエストで左之さんプロポーズ、子供が産まれてパパにみたいな感じだったのでこんな感じにしてみましたがいかがでしたでしょうか?
なんせ管理人は出産経験がないので(笑)
リクエストをくれた瑠依様どうでしょうか?
期待に添えてなければごめんなさい(ノ△T)
瑠依様のみ持ち帰りOKです。
愛様、最後まで読んで頂きありがとうございました♪
2012.7.22
[ prev / next ]