■ 貴方と私の距離の先に[後編]
『沖田さん、もう大丈夫です。ありがとうございます。』
「まだ、抱き着いてていいのに。」
笑いながら放してくれる沖田さん。
あの後、近くの公園に行き1時間ほど泣き続けた。
「目が大変なことになってるね、何か冷やす物買ってくるよ。」
『え、大丈夫で「いいから待ってて。」』
私は言われるままベンチに座った。
1人になり空を見上げると月が見え、手を伸ばす…
『届きそうで届かない…私と左之さんの距離みたい…』
また思い返し涙が流れる。
こんなに辛いなら諦めた方が楽なのかな…
『沖田さんなら好きになれるかな…』
その時、後ろから抱きしめられ
「駄目だ。総司を好きになるな。」
『さ、左之さん!?』
何故ここにいるのか、どうして抱きしめられてるのかわからなかった。
「泣いてたのか?」
私の涙を指で拭い、さらに強く抱きしめられた。
「俺じゃ…駄目か?」
思いもよらない言葉に驚いたが
『左之さんには彼女がいるじゃないですか。』
自分で言っておいてまた悲しくなる私。
「アイツとは別れた。」
『え?どうして…仲良かったじゃないですか!』
私を少し離し、見つめてくる左之さん。
「お前のことは可愛い後輩だと思ってた。いや…言い聞かせてた。けどよ、日に日にお前の存在が俺の中で大きくなって、やっと自分の気持ちに気付いたんだよ。」
優しく私の髪を触る彼が愛しく思えた。
「愛に好きなヤツがいるのはわかってる。けどよ、この気持ちは譲れねぇ…愛、お前が好きだ。」
今、私の望んでいた言葉を貰えた。
それだけで、嬉しかった。
あまりに都合が良すぎて自分で自分の頬を抓ってみた。
『…痛い…』
「はっ?なにやってんだ。」
『夢かと思いまして…う、嬉し過ぎまして。』
「それって、お前の好きなヤツって…」
『はい、左之さんです。大好きです。』
私は強く左之さんに抱き着いた。
「愛、好きだ…」
左之さんの顔が近づき、私は目を閉じた。
『そういえば、なんでここに居るんですか?』
「それは「僕が教えたんだよ。はい、アイス。これで目、冷やして。」」
『沖田さん!?いつから、そこに?…あ、ありがとうございます。』
「左之さん、酷いなぁ。僕達が見てるの知ってて愛ちゃんにキスしたでしょ。」
『え?え?えーー!!』
「そんな驚くことねぇだろ。」
「そうだよ。」
『………というか、なんで斎藤さんと千鶴ちゃんまでいるんですか!?』
「これは成り行きというか、決して覗くつもりはなんてだな…」
『斎藤さん、言い訳に聞こえます。』
「す、すまない。」
「愛ちゃん、ごめんね。でも、よかったね。」
『うん。』
「よし、みんなで呑み直すか!!」
「あーあ、僕は失恋なんですから、左之さんが奢ってくださいよ。」
そうだ、沖田さんに悪いことしちゃったと思ったら少し申し訳なくなった。
「愛ちゃん、そんな顔しないで。僕は君が笑顔でいれるならそれでいいんだ。」
『沖田さん…ありがとうございます。』
「左之さんに泣かされる事があれば、いつでも僕の所においでね。」
そんな沖田さんに笑顔で
『はい!!』
「愛、なに元気よく返事してんだよ。総司もそんなことにはならねぇよ。」
そんな会話をしながら私達はお店に向かった。
「愛、幸せにすっからよ。」
『はい!』
歩く私の手を左之さんの大きな手に包まれ、私達の距離が縮まった。
=あとがき=
愛様、最後まで読んで頂きありがとうございました♪
やっと出来ました☆
ちょっと中途半端な感じになってしまいましたがすいません(≧ヘ≦)
2012.6.27
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