i like u so much better when ur naked 1







 一つ。あんたはグランドラインで一番の色男だ(ただし、白ひげを除いて)。
 二つ。この間一服した島で見た、赤毛の可愛い顔した坊主は、もしかしてあんたのガキじゃねぇよな?
 三つ。おれはそんなこと微塵も気にかけちゃいないが、結論はつまり、おれにも打って出る必要があるってわけだ。あんたを相手にしてると誠実でいるのは難しいし、誠実って言葉の定義を言えば、おれたちの見解が一致するとは限らない。

 シンプルに言おうか? おれにも少し、自分を高く売り付ける必要が生じた、ってことだ。


 ことの発端はこうだった。

「あんた、今までで二番目に良かった」

 スプリングのなくなったベッドに寝そべって女が言った。髪を金色に染めていたが――ブロンドは人生を謳歌する! じゃあ赤い髪は?――彼女の自毛が何色か、そのときのおれはもう知っていた。

「二番目?」

 おれは手についたベタベタした液体を、色褪せたラベンダー色の麻のシーツに擦り付けて落とすことに気をとられていた。うつぶせで両腕に顎を乗せた女の表情は長い髪に隠れて見えない。
 白く柔らかそうな肌、優しい肩から背中のラインを、おれは称賛の思いで、一瞬魅入られたように見つめた。

「一番は誰だよ」

 港には、歯に衣着せない物言いをする女が多い。デリカシーがないってことを、オブラートに包んだ言い方にすれば。男顔負けの大した度胸だが、よく考えれば、こんなあらくれた男たちの下で裸になって仕事をするのだから、おれより肝が座っているのかもしれない。

「一週間前の客には、あたし料金はもらわなかった」

 おれは面白くなかった。
 そんなこと、おれに言ったところで何になる? それともおれを焚き付けて、もう一発分の金を取ろうって魂胆か?

 憮然となったおれに流し目をくれて女が笑った。笑い方一つにも、ああ、慣れてるんだ、と思わせる手強さをおれは見た。

「四皇の赤髪って、知ってる?」

 一瞬真っ白になったおれは、気付くと鼻で笑っていた。苦々しい連帯感のようなものが、シャンクスに対して沸き上がる。

「あんた白ひげの海賊でしょう? そのタトゥー、かっこいい。うちの宿もお高くなったのね」
「そりゃどうも」

 気分が萎えて言葉が続かなかった。ベッドに胡坐をかいたままおれは上半身を伸ばすと、危ういバランスでコンクリートの床に脱ぎ捨てられていたハーフパンツを探り、10000ベリー札を何枚か掴み出した。

「ありがとう」
「おれからは、料金取るわけだ」

 小さな皮肉に女が笑った。

「また来て」

 おれは肩をすくめて伸びをした。女が柔らかい胸を押し付けて、幼い子供の機嫌をとるように音を立てて頬にキスをしてきたので、おれはまるで10才の坊やになった気分だった。
 おれが10のガキだった頃に、そんなキスをしてくれるお色気の美女はいなかったが。

 彼女が口紅を塗る前だったのがせめてもの救いだった。



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