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FILE.5 20th JULY AM00:11 ACE: TIME TO MAKE YOUR BET 着慣れた革は肌に馴染んだ。獣が毛皮を纏うように、おれはこれを纏う。古く柔らかくなった革は防寒にもいいし、防御にもかなり役立つし、黒くつやめいた表面は着ていて気分がいい。 地上階の警備の厳重さに比べ、この階には今足元に倒れているパンク野郎しかいない様子だった。レッド・フォースの連中は妙なところで手薄だが、考えてみれば奴らはうちのファミリーの10分の1も人数がいないのだから、たぶんこんなものかもしれない。それに要はセキュリティを突破されたとしても、赤髪本人が自分で刺客に対処できればいいのだ。たいした余裕だった。望むところだ。 これからしでかそうとしていることを考えるとぞくぞくした。 白ひげに挑んだときの高揚と一緒だ。名声を、この街を手に入れて、誰にも不服は言わせないつもりだった。でも例え誰かの下についたとしても、これはいつだってリスキーなビジネスだ。そしておれはそれなしじゃいられない。 気配を殺し、階下に続く部屋の扉を開けた。 カジノのざわめきが聞こえてくる。 ベットは決まった。おれの命だ。 さあレイズしよう。 FILE.6 |