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FILE.3 19TH JULY 22:21 SHANKS: WHEN A CAT COME OUT TO PLAY 黒いコートが街灯の明かりを鈍く反射しながら、石畳の上に滑るような影を二つ流している。二人にとっては普通の速度だったが、手下たちには少し早いかったようで、ボディーガードの役には立っていなかった。 「黒猫がつけてきてるな」 「黒豹だろう、あれは獰猛だ。あんたの喉を食い千切ろうとしてる」 「おれになついてるんだ、あれは」 煙草をくわえたまま、ベックマンが喉を鳴らした。伏せ目がちで控えめな印象の男だが、この街で今一番警戒されている男の手綱は、彼が握っている。シャンクスが彼の手からブランデーのスチールボトルを奪った。広いストロークで歩きながら、喉を仰向ける。赤い髪が黒い上等な革の上で輝いた。 「野生の動物は人には懐かねえと思うがな」 「猫だろう。白ひげに飼いならされてる」 「白ひげのものなら、なおさらあんたの手には入らない」 「どうかな」 黒いグラスの下から目の覚めるようなグリーンの瞳が覗いた。この瞳に捕えられると、ベックマンはいつも彼に触れないでいるよう自制するのが難しかった。彼が引き寄せたいのを一瞬こらえていると、勝ち誇った子供のように笑って、シャンクスが彼の手に空のスチールボトルを押しつけた。 このカジノに入ったのは、一見単に彼が楽しみたいだけのように見えたが、縄張りの見回りも兼ねていると、ベックマンにはわかっている。 FILE.4 |