one love: atonement 3






 緊張に強ばった身体が、自分の体温と愛撫にほどけていくのを感じるのは心地よかった。彼を驚かせるようなことを何一つしないように、傷ついた動物をなだめるように、シャンクスは慎重にエースの身体をほぐしていった。



 ときどきエースはこんな風になる。それは最近まで知らなかった。
 初めて彼に会ったときはまだ少年の面差しで、屈託なく笑う割に時折暗い影を見せる子供だと思った。白ひげの船に乗ってからは、何かを振り切ったように透明な印象の笑顔が多くなっていたはずだった。

 しかし今夜の様子を見ていると、以前よりたちの悪いものが彼をむしばんでいるような気がしてならなかった。胸の底で嫌な感触がして、シャンクスはそれが何かを突き止めたくなったが、質問をした途端にエースが爪を出して逃げ出すだろうという予想はついた。

 エースの暗い瞳は窓のように開いていて、秘密は隠し通せても感情を押し殺すことにはむいていなかった。シャンクスは別の場所でその瞳を見たことがあった。撃ち落とされて呆然となりながら、助からないと知りつつ足掻く鳥の瞳だ。

 彼がどんな痛みを経験してきたのか、どんな苦しみが胸に渦巻いているのかシャンクスは知らなかった。しかし誰かがどこかで、深い傷痕を残した。それでエースは憶病になっている。痛む傷口を抱えながら、手当を恐れて牙を剥いている。
 しかし生きている限り、癒えない傷など無いとシャンクスは信じていた。
 そして少なくともこの青年は、自分から救われようと必死にもがいている。どうにかしてやりたかった。
 彼のように危うい人間は他に知らなかった。



 汗に湿った柔らかい髪をかきあげてやると、火照った瞳がぼんやりと見上げてきた。体の芯が熱い。額を伝った汗が目に入ってシャンクスはちょっと首を振った。
 深く口づけたかったが、お互い荒い息のせいでとぎれとぎれになった。
 エースの熱を持った内側がきつく締めつけてきたので、彼の体を押しつぶすようにしてさらに強く揺さぶった。エースが悲鳴をあげて肩にしがみついた。泣きながら、哀願するようなことを口走っている。
 逃げ出そうとする腰を押さえつけ、シャンクスは奥歯をかみしめた。一番深いところに容赦なく腰を打ち付ける。エースが息を切らして首をのけぞらせた。腹に濡れた感触がして、強張った身体から痙攣が伝わってくる。
 彼の中が強く絡み付いてきて低いうめき声が漏れた。そして逆らわずに熱い奥に放った。



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