・管理人は桃井ちゃん好きです
・あまり幸せではない
・雰囲気えろ(?)
はじめから、そんな事、知ってたよ。
好きになった時から、好きになる前からずっと分かってた。あなたが私に振り向いてくれる事はない。私は所詮、あの子を傷つけないためのあの子の代わりに過ぎないんだって事くらい分かってた。
あの子と私なんて似ても似つかない、綺麗で、綺麗で、輝いたあの子と私は何もかもが違うから。
代わりにしてもらえただけ幸せなんだなんて自分に言い聞かせていた、でも。
私だってやっぱり、少しくらい少しくらい夢を見るんだ。もしかしたら一緒にいる内に私の事を好きになってくれるかもしれない。好きになってくれる事はなくても、一緒に過ごした時間で情が芽生えるかもしれない。
私と彼が過ごした時間なんて、彼があの子と幼なじみとして過ごした大切な時間の何分の一にも過ぎないのに、もしかしたらと、そう思っていた。
桃色のストレートに伸びる髪が、桃色の瞳が、彼の幼なじみという場所が欲しかった。私とは正反対で、憧れているからこそ辛かった。いっそ忘れてしまいたいとそう思って、でも忘れたくなくて。
だから、代わりでもよかった、代わりでもよかったの。
「悪ィ。」
「仕方ないよ。私がそれでもいいって言ったから、青峰くんは悪くない。」
あの子の代わりとして、私を抱いた後彼は言った。私は笑っているのに、青峰くんの方が泣きそうな顔をしていて。どうして青峰くんが泣きそうなのと笑えば、そんな事ねぇよ、と言うけど青峰くんの表情は変わらない。
「唇、かんじゃダメだよ。」
そう言って頬に手を伸ばせば、青峰くんの肩が揺れる。ああそっか、もう、こんな事しちゃだめなんだっけ。慌てて伸ばした手をひいて、ごめんと言った。
「いや、」
伸ばしかけて引っ込めた手をひかれて、足元がフラついてしまって。気付けばそこは大好きで大好きで、でももう傍にはいられない彼の腕の中。
やだ、こんな事されたらまた揺らいでしまう。もしかしたら、なんてそんな期待、させないでよ、ねぇ。
「少しだけ、」
そう言われればもう抵抗なんて出来なくて。聞いた事のないほど、弱々しい彼の声に、怖くて彼の顔を見られない。
あんな事、言わなきゃよかったね。私のわがままでこんなにも苦しめてごめんねって青峰くんは何も悪くないんだよって言いたいのに、言葉に出してしまえば嗚咽に消えてしまいそうで。
忘れていいよ、私との事は嘘だったと、幻だったと過ちだったと思って忘れていいから、もう自分を責めないで、お願い。
忘れてね、私達の事はすべて幻だったと思って、いいから。私は幸せだったから。
群青色で塗り潰した16才
「私をあの子の代わりにしていいよ。」
20120801