ず//ずっと傍にいてなんて我儘かな



「ぶっは、こん時のなまえまだ真ちゃんの事睨んでやんの!」

「う、仕方ないでしょー…」


中学の卒業アルバムに続いて開いた、高校の卒業アルバムからばさりと落ちてきたのは数十枚に及ぶ写真の束だった。
おそらく五月頃に撮ったであろう三人での写真。仏頂面の緑間に、それを睨む私の真ん中で和成が満面の笑顔、というなんともシュールな写真。

懐かしいな、と過去の波に思考を浮かばせる。






秀徳高校に入学して、私はバスケ部のマネージャーになった。和成がきっと見せてくれる、いつかキセキを倒して得られる全国での栄光を夢見て。

部員の顔合わせで紹介された時、気を失いそうになった。

どうして、緑間真太郎がここにいる?


和成の敵だと研究し続けていた緑間が目の前に和成のチームメイトとしている光景はあまりにも予想外で、私は和成のようにうまく思考を切り替えられなかった。更にその緑間と和成があまりにも仲良くなるものだから色々な怒りが混ざって、私の緑間への態度は散々なものだった。
その態度たるや、あの温厚な大坪先輩を苦笑いさせたほどである。

緑間は選手としてはムカつくくらい優秀で、和成との相性もこれまたムカつくくらいよかった。それはバスケにおいても、私生活においても。
逆に緑間と私の相性は最悪でそれこそ犬猿の仲だった。

だから、和成と緑間がどんどん仲良くなって相棒と呼ばれるさまは私にとって最悪だった。

正直な話、子供みたいで恥ずかしいけど和成をとられてしまうと思っていた。
泣きながら緑間に八つ当たりした事もあった。今思えば、緑間には本当に申し訳ない…と思う。

そんな私の姿を見兼ねたある日、緑間が私と高尾を二人きりにした。きっと緑間はあの頃から単純な私達の事なんてお見通しだったんだろう。


「馬鹿だなーなまえは。」

「ばかじゃ、ない!」


緑間への思い、和成が私を捨ててしまうんじゃないかという不安、すべてを話したら、不安そうにしていた和成がへにゃりと笑って言った。


「ずっとそばにいてよ。」






「あん時さー、むしろなまえと真ちゃんが仲良すぎで俺は不安だったんだけどな。」

「どこが!?」

「んー、喧嘩するほどってやつ?」


写真を一枚ずつ仕舞いながら話していれば、ナイスタイミングで家のチャイムが鳴る。真ちゃんだ!と笑った和成は玄関の方へ走っていってしまった。
相変わらず和成はエース様にぞっこんみたいだけどこの場所だけは譲りたくないなあ、なーんてね。
さあ、私もエース様をお迎えに行きますかと思い出の海から立ち上がった。


和成のお嫁さん、それは私だけの居場所。




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