いつまでも愛しい


きらきらと輝く金色の髪、夏の空の下遠くを見つめる姿はまるで一枚の絵のようで、現実味がなくて…今ここにいる事が夢なんじゃないかと思った。

初めて出会った時、こんなに綺麗な人が世の中にいるのかとそう思った。知れば知るほど好きになって、この人の傍にいたいと強く、強く思うようになって。

忘れられない、彼がなまえっちと呼んでくれた日、彼が私をなまえと呼んで、私にとくべつを与えてくれた日。初めて恋をした、大好きな、大好きだった人。


「涼太、」

「…なまえ。」


彼がほっとしたような表情を見せて、その表情に胸が締め付けられる。ああ、ずるいなあ、本当にずるい、優しい人。
別れた日から「涼太」と名前を呼んで拒絶されるのが怖くて、名前を呼ぶ事を避けてきた。彼に頼まれ初めて、久しぶりに紡いだ涼太という名前は懐かしくて、優しくて、でもどこか馴染まなくて。

どうして何度も呼んだはずなのに違和感を感じるんだろうと思った。考えて、考えて、頭がいたくなるほど考えて答えが出た。


「呼び出してごめんね、」

「全然大丈夫っスよ!もしかして…答えが出たんスか…?それだったらちょっと聞くの……怖い。」


涼太が目を伏せて悲しげな表情になる。胸をぎゅっと締め付けられて苦しくて、抱きしめて、あげたくて。でも。彼の声が、笑顔で私を呼ぶ姿が頭でゆっくりと再生される。


「…私、―――涼太の事好きだったよ。大好きだった。大好き、だった。」


溢れ出す涙、でももうこの人に甘えてはいけない。それをしたらまた私は変われない、これ以上、誰も苦しめたくない。出会えた大好きな人を、大好きだった人を傷つけたくなる。


「…辛い事言わせてごめん。」


モデルという職業柄だろうか、泣きそうなほど痛い瞳で彼は笑っていて。でも私はもうそんな彼の傍にはいられない。だって私達はずっと前に、終わってしまったから。大好きだったという気持ちにすがるのはこれで最後。


「なまえっちは、馬鹿っスねー!俺を選んだ方が絶対に楽しいのに!俺モデルっすよー?」

「…かもしれないね。」


冗談っぽくそう言う彼の優しさが痛い。このとくべつの優しさに気づけず、形にこだわって締め付けて、彼を傷つけた幼かった私。ごめんなさいが溢れ出す。


「…これから会いに行くんっしょ?泣いちゃダメっスよ!俺が悔しくなるくらい…幸せにしてもらってこい!」


そう言って、泣いている私の背中を押した。彼はとてもとても素敵な。振り向けば彼は少しだけ涙を流して、でも向日葵のような笑顔で私に手を振ってくれていた。

…ありがとう、大好きでした。

本当に、本当に、大好きでした。いつまでも愛しいたった一人の、初恋の人。私が幼くてあなたを沢山傷つけてごめんなさい。


いつか、あなたを幸せに導いてくれる私よりずっと優しい優しい綺麗な女の子が、現れますように。




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