大切な友達


高尾が家の前にいる事に驚くべきか、自転車の後ろにリヤカーがついていない事に驚くべきなのか。あれ、なんかちょっと混乱し過ぎて思考わけわかんない。


「あれ、てか緑間は?」

「あーなんかなー、早朝に電話かかってきて、今日のラッキーアイテムは電車でお前とは相性が最悪だからおまえは一人で学校に行くのだよキリッ。て言われて電話切られちった」


ひどいっしょーと泣き真似をする高尾を見て思わずふき出した。しかも緑間に言われたという部分はちゃっかり声真似してて、その声真似が無駄に似ててもう、笑いが堪え切れなくて。
私が笑っている姿を見て高尾はひっでーと言いながらも私以上に笑っていて。朝から騒がしくて仕方ないけど昨日の今日だし、昨日の今日だからこそたまにはこんな朝も悪くないかなと思った。


「ほれ後ろ乗りー。」

「はい、どーも。」


肩にかけていた鞄を自転車の前カゴに入れさせてもらって、遠慮なく後ろに座らせてもらう。いつもリヤカーin緑間をひいている高尾だ。大丈夫だろうと信じて軽く乗ったけど今更少し自分の体重が心配になってきた。


「やっべ!リヤカーないから自転車超軽い!バランス崩しそう!」

「ちょ!今重いんじゃないかって心配してたとこだったのに!てゆーかバランス崩すなちょっ!」


タイミングがいいんだか悪いんだか高尾がそんな声をあげるから笑いすぎて自転車から落ちかけた。更に高尾がバランスをとれないのかぐらぐらと蛇行運転するものだから、危なくて仕方ないのになぜか笑いが止まらなくて。
前にいる高尾もやっべ!と言いながらも爆笑している。ああなんかこんなに笑ってたら色々飛んでいってしまう。
高尾はなんていうか、本当に、本当に。最近高尾に助けられる事が多いなあと思ってたら自然に口からはありがとうの言葉が零れていて。
自転車運転中のこの状況じゃきっと聞こえていないだろうけど、それでいいやと自然に思えた。


「なまえ!」

「なーにー。」

「道間違えちまったから学校サボろうぜー!」

「ちょ、テスト前!」


気にしない気にしないと高尾は自転車のスピードをあげて、きっと高尾は昨日の事を私がまだ引きずっている事を分かってて、気を使ってくれてる。

道を間違えたからなんて嘘で理由づけてくれる高尾がいたから、私は今笑えている。

高尾みたいな友達がいて本当によかったとそう、思った。大切な、友達。


友達、




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