眩しい朝日を浴びながら、さらさらと靡く緋い髪。




「こっちは終わったよ」




後ろから声を掛ければ、こちらを向いて剣心は笑った。




「あぁ、早いでござるな」




剣心と恋仲になってから月日は流れた。
ただ未だに神谷道場に居候していて、尚且つ薫にも恋仲であることは伝えていない。




「ごめんね、洗濯やらせちゃって。お茶煎れて来るね!」




それは剣心と恋仲になる、条件だった。

剣心が言うには薫にそれを言ってしまうと、此処には居れなくなるから、と。薫には恋愛感情は無いが此処は自分の居場所だから、と。



それを聞いた私は、頷くしか出来なかった。




「name殿」


「………ん?」




台所で茶を煎れていると、洗濯を終わらせた剣心がやって来た。




「拙者、薫殿を迎えに行くでござる」




そう言って剣心は家を出ていった。
薫は買い物に行っただけ、なのに、いつも必ず剣心は迎えに行く。
どんなに近くでも、出来るだけ薫には付いて行く。




「笑っちゃうなぁ、全く。」




知らず知らずに、頬に涙が伝った。
それを気付いたのは、後のこと。










剣心が薫を迎えに行ってからだいぶ時間が経つ。

迎えに行くにしては、随分帰りが遅い。




「まさか、」




何かまた事件に巻き込まれたんじゃないか。

嫌な汗が背中を伝った。




「…っ」




こんな時に限って左之助は賭場に行ってるのか来て居ない、弥彦は赤べこだ。




「剣心…!」




それでも居ても立っても居られなくて、神谷道場を飛び出した。



街中走り回って探すが、剣心の姿も薫の姿も見当たらない。
気付けば陽が落ち、空は暗がりを見せていた。




「はぁ…っ、…ど、こっ」




街外れの河原に辿り着いた。
息は上がって、喉が痛い。




「……っ」




そんな中、目には入ったのは、




「………剣心」




抱きしめ合う、剣心と、薫。
その場から逃げようにも、足が地面から離れない。




「…あ、」




そんな中、薫と目が合ってしまった。
でも、自分は何処か冷静で。




「剣心、ちょっと、nameちゃんが!」




薫が剣心を引き離すと、剣心は此方を向いた。




「やだ、ごめんねnameちゃん…変なもの見せちゃって!さ、弥彦も帰ってくるだろうから早く帰りましょう!」




そう薫は顔を赤らめながら、私の横を擦り抜けた。
剣心は眉毛を下げて、私を見ていた。




「……帰ろっか、剣心。」




そう言って、剣心に笑い掛けた。




「name殿、」


「ん?」


「拙者は…」


「うん。……分かってるから」




そっと、剣心は私の涙を拭った。


それでも愛すと、決めていたから。










ほんとの気持ちは、


お題は、コランダムさまからお借りしました。


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