「宗次郎、寒い!」


「はいはい」




学校では公認カップルとも言われている僕たちは、
カップルらしく登下校も一緒にしていて。

彼氏である僕は彼女であるnameの手を握ってコートのポケットに手を突っ込んだ。




「へへ、あったかい」




nameは、素直じゃない。

だからいつも、手を繋ぐのも、抱き締めるのも、キスをするのも、
全部ぼくからだった。




「name、家に来ませんか?ちょうど美味しい和菓子があるので」




にこりと微笑むと、ぱあっと花が咲いたようにnameは微笑った。




「行く!和菓子!」




nameは、僕の手を引くと、すたすたと歩き始めた。

僕はこれからの作戦を練りながら後ろを歩いた。










「お茶でいいですか?」


「うん!ありがと!」




nameはにこにこしながら、ソファーに座った。
僕がお茶を渡すと両手で受け取り、呑気に和むね、なんて言っている。




「僕、nameに聞きたいことがあるんです。」




nameはお茶を啜りながら視線を此方に向けた。




「本当に僕のこと、好きですか?」


「…ごほっ、」




思わずむせ返ってしまったnameに、つい笑みが零れた。




「大丈夫ですか?」


「だ、大丈夫…」




少し沈黙が続くと、nameは意を決したようで此方を向いた。

その顔は、何だか泣きそうになっていて、つい僕の理性が揺らいだ。




「す、す、す、きだよ?」




顔を真っ赤にしながら、目は泳いでいて。

ああ、恥ずかしがってる。
そう思えば愛おしくて抱き締めたくなって。

でも、まだ、我慢です。
これからが、本番なんですから。




「本当ですか?……証拠、見せて下さい。」


「…証拠?」


「はい、行動で表して下さい。」




意味を理解したのか、nameは口をぱくぱくさせて、金魚のようになっている。

虐め過ぎたでしょうか?
いえ、まだまだです。




「……やっぱり、嫌いなんですね…?」




僕が少し眉を下げて困った顔をすると、その真っ赤になったnameは小さく呟いた。




「め、目瞑って、」




そう言われて、ゆっくり目を閉じるとnameの唇が僕の唇に触れた。




「……それだけですか?」


「え、あ、わっ!」




唇が離れてすぐ。

キスだけじゃあ、やっぱり、どうしても、足りなくて、
僕はnameを押し倒した。




「僕のこと、好きなんですよね?」


「…う、ん」


「それじゃあ、嫌がらないで僕の好きにさせて下さいね」




返事は聞かずとも、理解した。













計画的な甘い時間


お題は、たとえば僕が、さまからお借りしました。

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