「あ…あ、ぁあ……!」 雪の散らつく、漆黒の夜に。 痛々しいほど包帯に巻かれた男に出会った。 「なんだ、お前もこうなりたいのか?」 にいっと不気味な笑みを浮かべるその男は、一歩、また一歩、と此方へ向かってくる。 恐怖のあまり、腰が抜け地面に崩れた。 「…な、んでも、…なんでも、しますから…っ」 泣きじゃくりながら命乞いする女を見たのは、初めてじゃないだろう。 男は泣きじゃくる女の首根っこを掴むと、闇へと、消えた。 「志々雄さん、起きて…?」 「……ん」 ふわりと香る甘い匂い。 それはnameのものなのは、直ぐに分かる。 「今日は十本刀が揃うんでしょう?早く起きて下さいな」 nameは志々雄の唇へ小さく口付けると、微笑った。 「…夢、」 「夢、ですか?」 志々雄は布団に寝転んだまま、天井を見ながら呟いた。 寝転んだままの志々雄のとなりにnameは座ると、首を傾げた。 「お前と出逢った時の夢だ」 志々雄はnameのほうへ顔だけ向ければ、nameは微笑っていた。 「ふふふ、……懐かしいですね?」 くすくすと微笑うnameを見つめ、志々雄は溜め息を吐いた。 「まさか、この俺が手の平で転がされるとはな…」 「ん?なんでしょう?」 「…なんでもねぇ」 nameの長い髪を指で掬う。 nameは気持ち良さそうに、目を閉じた。 「私の命を志々雄さんにあげたんです。……だから私は志々雄さんの心を頂いたまでですよ」 絶対予告の微笑み お題は、たとえば僕が、さまからお借りしました。 . ←
|