真っ白な息を吐けば、内蔵全て凍るんじゃないかと思うくらいに、寒い。
手は悴んでいて、耳はもう凍ったんじゃないだろうか。





「宗次郎、帰ろうよ…」


「はい。でもあと少しですから」





手に自分の息を掛ければ、少しだけ暖かい。
だけど、そんなのは直ぐに消えてしまった。





「…宗次郎、寒い」


「もう少しです」





さっきから何をしてるんだろう。
宗次郎は私に背を向けたまま積もった雪にしゃがみ込んでいて、良く寒くないなあ、と感心した。





「ほら、出来ました」





宗次郎が私に差し出したのは、両手に乗った小さな雪だるま。
ふたつの雪だるまは、寄り添っていて、可愛らしくて。
何より宗次郎が作ったことが、可愛くて。





「ふふ、ありがと」





笑顔で雪だるまを受け取ると、宗次郎は満足そうに私にキスをした。





「アジトに戻ったら、温めてあげますから。ね?」





宗次郎との記憶は冷たくて寒くて、何よりも真っ白で。
その中で寄り添った私たちは、ゆっくりゆっくり溶けた。
それから、交合うようにキスをした。









雪と君


( 宗次郎、ずっと一緒にいようね ) 


( 珍しいですね…そんなこと言うの ) 


( ふふ、何となくね )

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