あれは、何時のことだったろうか。辺りは雪の白で染まり、息が詰まるくらいに綺麗だった。 そんな白の世界のなかで、突然朱色が弾け、白は朱に染まる。 それは何とも幻想的で、そこだけが時間が速く進んだ気がした。 「…nameさん?如何したんですか、そんなにぼーっとして」 「綺麗だなあ、って思ってさ」 宗次郎は、何時と変わらない笑顔で問うた。 其れに負けじと、私も笑顔で返す。 「じゃあ、もっと魅せてあげましょうか」 「…うん」 目の前には、宗次郎の笑顔と、朱色が舞った。 「…綺麗ですよ、nameさん」 冷たくなるまで 僕が、手を握るから。 . ←→
|