目を薄く開ければ、寝息を立てている愛しい人。 優しくその瞼に口付けると、ゆっくりその目は開いた。 「……寝込みを襲う気か?」 斎藤さんらしいと言えば斎藤さんらしいが。 「何よ、襲って欲しいわけ?」 ふふ、と笑って見せれば斎藤さんも笑った。 何時もの、厭らしいあの笑みで。 「あぁ…襲えるもんなら、な。」 その笑みと、その言葉には何時もの余裕があって なんだかちょっとだけ、悔しい。 「だって、あたしが襲う前に斎藤さんがあたしを襲っちゃうじゃない」 嫌味っぽく言ってみれば、斎藤さんが上に見えた。 ああ、また押し倒された。 斎藤さんてば、元気だな…。 「こんなに厭らしい身体を見て見ぬ振りは出来んだろうが、阿呆」 噛み付くように、首筋に口付けた。 優しく襲って 欲に、素直に。 . ←
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