意外な一面(一方通行/甘)






「あーあ…雨、降ってきた」


近くのコンビニに、週刊誌が出ていたのが悪かった。ついつい立ち読んでしまい気が付いた時には雲行きが怪しくなっていた。もちろん傘なんか持ってきてないなまえは、急いで買い物をして外にでたが時既に遅し。

派手に降ってきた雨に為す術がなくとりあえずコンビニ内に戻った。まあコンビニから家はそこまで遠くないけど走るのもめんどくさい。


「困ったー…ン?」

「ァア…?ンだお前か…」

「アクセラっ」


コンビニに入ってきたのは、知り合いというか腐れ縁の一方通行。彼はこちらを見るなりめんどくさそうに目を逸らす。


「アクセラはまた珈琲?」

「と、ガキのアイス」

「なるほど、私はこの雨で帰れなくなっていたのですよ…」



ハァ、とため息を吐くと一方通行は興味がなさそうな返事をしながらカゴに珈琲をぽいぽい入れていく(ほんっと珈琲好きよね)


「ハァ?バカですかーお前は」

「え?いきなり何よ…」

「傘ならソコに売ってンだろォがよ」

「あ…」



一方通行が指差す方向には傘が一本あった。しかしとても大事な事に気が付いた。

先ほどの買い物でお金を使いきってしまったのだ、やっちまったぜ!(と言えばアクセラレータは呆れた顔をしてレジに向かった)外をちら、と見るがやみそうにない雨。もう走って帰るしかない、うん。

なんて意気込んでコンビニから外へ出て走ろうと構えると後ろから「オイ」と声が聞こえた。


「うん?どーしたアクセラ」

「何先に行こうとしてンだよ、お前はバカですかァ?」

「はっ……?」

「ほら、俺の優しさに感謝しやがれェ」


さっきから馬鹿馬鹿なんなんだと思えば次の瞬間、バサと傘独特の音が。横を見ればアクセラレータが早くしろ、と言った。

アクセラレータに傘は必要ないはず(反射できるし)なのに何で、それにこれは先程コンビニで売っていた物じゃないですか?とわざとらしく一方通行に聞けばうるせェ黙れ、といわれた。

わたしはその返答に、にやにやと笑ってしまった。嬉しくて仕方がなかったんだから。





(わたし、アクセラに惚れたかも)
(は?……バッカじゃねえ?)
(とか言って万更じゃないくせに)
(ブッ殺すぞテメェ)



20111005





prev next

 

「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -