そんな所も愛しい(金造/甘)






「やー、ほんま久しぶりやね!」
「せやな、元気しとったか?」

「まぁね…アンタと違ってバンドやなんやとやってへんからな」

「テメェ、バンド馬鹿にすな!久々なんに何も変わっとらんなァ、なまえは」

「アンタにだけは言われたくあらへん」



祓魔師のなまえ久々に京都の実家に里帰り。の、ついでに昔から色々お世話になってきた志摩家に顔を出したのだが、柔造は見当たらず変わりに居たのが金造だった。
昔から金造とは顔をあわせれば喧嘩ばかりで、素直になれない自分がいる。そう、昔からなまえは金造が好きだったのだ。だから素直になれずにこんな態度。



「…まあなんや、せっかく来たんやし飯でも食ってき」

「え、あ、ありがとうな」



急にご飯の話題をふられてなまえの意識は此方へと呼び戻された。金造の後ろをあるくも会話がない。


「……なぁ、金造」

「んあー?」

「わたしな、ほんまは…」



金造の背中を見ながら言葉を紡ごうとするが、その続きは中々でてこない。好き、なんて言ってしまえば今の関係も崩れてしまいそうで恐かったから。



「腹減ったなァ、」

「せやね…わたしも朝食べてないからお腹空いたわ」


ここは遠慮なく食べさせてもらおうと箸を持つなまえ。志摩家のご飯はとても美味しいのだ、何故かは知らないけど。


「ほな…」


お米を食べようと箸を口に運んだ瞬間、なまえはある事を思い出した。思い出したのだ、金造の癖を。

なまえが隣を見るより前に金造はいつものごとく食べる。飛ばしまくりで、その残骸はなまえの方にまで飛んでくるのだ。


「あぁああもう、落ち着いて食べぇや!」

「あっ、何すんじゃアホ!」



箸を奪い取ってそう言えば金造は米つぶを口のまわりにたくさんつけながらなまえを睨んだ。


「もう…なんでそない荒々しい食べ方なん」

「男って感じでええ!」

「…せやかてほら、こないご飯つぶつけて…じっとしぃ」



なまえは溜め息を吐いて、金造の口のまわりについたご飯つぶを一つ一つとる。金造はその行動に呆然としていた。


「でもまあ、金造らしくてええのかもしれへんけどな」


と、なまえが微笑めば金造は目をそらして「おお」と呟いた。

まあなまえにしてはそんな金造もまとめて好きなのだけれど、想いを伝えるのはまた今度になりそうだ。








20110907.


――――――――
金柔廉の口調が
同じだから見分けが…っ!




prev next

 

「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -