君の方がいい(廉造/甘)







放課後いつものように祓魔塾にむかうと廉造のカバンがあったので、ちょっと悪戯してやろうと思いカバンを開くと廉造のカバンの中からエロ本が、出てきた。


「…………」


本を片手に数秒固まるなまえ。まあ確かに廉造は健全な男子高校生だからこういう本を持っているのは当たり前なのかもしれない、けど、けど!彼女の私としてはどう反応していいか困るワケで。

しかもちょっと中身が気になる。わたしも健全な女子高生だから仕方ない!と自分で自分に言い聞かせてページを開いた。

そこにはわたしが想像していたものよりもはるかにきわどいものが。見た瞬間顔を真っ赤にしてしまったなまえ、


「廉造って、こ、こういうのが好きなのかな」


こういうのが好きなら、わたしなんかまさに正反対じゃないか!はっ、もしかしてわたしに魅力がないからこういう本を買うの!?なんてどうしようどうしようと考えいたら、なまえ?と声が聞こえた。


「やっぱなまえや、どうしたん?」

「れ、れれれれ廉造?!」

「どないしたん、そない焦って……ん?何隠してんねや」

「な、何も隠してないよ!」

「嘘や、なまえ手ぇ後ろにしとるやないか」



近づいてくる廉造に、なまえも悟られまいと変な動きで後退る。しかしすぐ追い詰められてしまった。


「見せられへんのー?そない怪しいもんなんや…やらしぃ」

「ちちち違うし!ヤラシイのは廉造じゃん!こんなエロ本っ…」

「あ……それ俺の!」


しまったああ!ついカッとなって廉造の前にエロ本を突き出してしまった。


「べつにええやろ、男やもん」

「ヘンッッタイ!」

「変態いうなや…傷つくやろ、変態は坊やで」

「?勝呂君は真面目じゃない」



どうやら意味が通じてないらしく、なまえは意味がわからないというように廉造を見た。


「……っ、じ、じゃあ廉造はこの本大切?」

「そら、俺の心のオアシスやからな!」

「………わたしより?」


廉造が嬉しそうにいうものだから、すこし悲しくなったなまえは目をそらしながら聞いた。不意打ちでそんなことを言われた廉造は、目を見開いている。


「………い、今なんて」

「…だからわたしよりもエロ本のがいいの、って」



言ってだんだん恥ずかしくなってきたなまえは声を小さくして廉造に聞く。しかしなかなか返事がかえってこないので前を見れば彼は下を向いていた。


「………れん、ぞう?」

「あーもうそない可愛い事言われたら耐えられへんやろ!」

「なに……っうわ、」


廉造の叫び声と同時に抱き寄せられたわたしの体。ぬくもりが、全体に染み渡る。


「今ならもう、往生してもええでほんまに」

「もっ……廉造、なにが…」


ぎゅうぎゅう抱き締められていては身動きがとれず、壁に押しつけられていたのでそのままずるずると下に腰が降りていく。


「なぁなまえ、」

「…ん?」

「俺、なまえがいたらこの本なくてもええわ」

「えっ……!ひあっ、廉造…」



がぶり、そんな効果音でもあるんじゃないかというくらいに首筋を噛まれてわたしはびくりと体を震わす。



「あんな本より、なまえのが…せや、あの本使わない分たぁっぷり愛したるわ」

「ここ祓魔塾なんですけど!」

「色々煽ったんはなまえやで、堪忍しぃや」



にこっと笑う廉造に、わたしの顔が引きつったのは言うまでもない。







20110908.

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