電話越しの愛しさ(勝呂/甘)






どきどき、ゆっくりと携帯に手を伸ばすわたし。「電話するわ」と言ってくれた彼からの着信を表すメロディに胸が高鳴る。


「……もしもし?」

《おう、俺や》

「ふふ…わかってるよ」

《なんや機嫌いいな?》

「勝呂君と電話してるからかな」

《な、なんや恥ずかしいやっちゃなあ…》


他愛ない話、いつもと変わらない会話のはずなのにいつもとは何かが違う。電話越しに聞く彼の声は少し違う、気がして。


「なんか近くに居るのに電話してるって不思議よね」

《まあ近い言うても男子寮と女子寮の距離は少しあるからなぁ》

「今は一人なの?」

《おん、志摩と子猫丸はコンビニいっとるわ》

「そっか、」


口元が緩むのを押さえて、窓から見える男子寮を見つめる。


「……好き」

《お、お前今なんて…!》

「会いたいなあ、勝呂君」


近くて遠い距離がもどかしくて、ぽつりとこぼした言葉。勝呂君は電話越しにあわててような声を出す、はてさてどちらの言葉に同様しているのかしらね。


《…俺も会いたいわ、》

「うん…でも、こうやって電話してる時間もわたしは大好き」

《俺もや、早う明日にならんか思ってまうわ》


そう言った彼の声に、激しくときめいてしまったわたし。ああ、やっぱり電話も好き、かも。





(どんな貴方も好きだよ)


20111018





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