背中を見つめる(柔造/切)






「任務完了……っと」


今回私は悪魔退治として、柔造と共に任務に来ていた。任務は無事に終了して、柔造と待ち合わせていた場所に向かうと柔造はもう待っていた。



「さすが、早いね柔造」

「そーか?ま、今回の悪魔はたいした事あらへんかったしな」

「低級だったよね、少し物足りない感じ…」

「そない言うなや、平和でええ証やろ?」


こういう他愛のない話がわたしは好きだった。好きなのだ、柔造が。だけど彼はわたしなんか見てもいないだろう。これなら犬猿の仲になってもいいから蝮ちゃん家に生まれたかったな。言い合えるだけでも傍から見たら仲がいいように見えるし、

なんてボーッとしていたら、足元の枝につまずいて、派手に転んでしまった。


「痛っつ!」

「お前何してんねや…」

「ううるさい!」

「いつまで座っとるん、ほら」

「あ……りがとう」


呆れたように笑いながらも柔造は手を差し伸べてきた。ああ、やさしくしないでほしい。とも言ってられないので手をつかんで立とうとした……のに


「………あ、れ」

「どないしたん?」

「…立てない」

「ほんまか、ちょお足見せてみ」

柔造はしゃがんで私の足を見る。心なしか腫れぼったい気がする、

「これは…捻挫やな、多分」

「え……しょうがない、使い魔召喚して運んでもらおうかな」

「そない力の消耗せんでもええ、ほら、早よ乗り」


わたしの前に腰をおろす柔造。これはまさかおんぶという奴ですか。

「でもわたし重い、よ?」

「そん、細い体で重い訳ないやろ!いいから乗れ」


わたしはこれ以上迷惑かけるのもなんなのでと、おとなしく首に腕をまわした。とたんに浮遊感、

背中に乗ってわかったけど、柔造ってこんなに背が高かったんだなあ、とか、暖かい背中だなとか、愛しさが込み上げてきてしまう。

「帰ったらちゃんと手当てせなあかんで?」

「うん……」



こんなに近いのに、遠い距離にわたしはため息をひとつこぼした。





(ただ見つめる事しかできなくて)


20110915.





prev next

 

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -