「りっちゃん、次って移動教室だっけ?」

「そうよ、行きましょう」

「うん!」


今日も朝から華麗に志摩のセクハラ攻撃を交わして今ようやく午後の授業に。次は確か映画鑑賞だったよなあとか思って(雪男君が留守なため)視聴覚室まで移動中。


「何見るんだろ」

「歪んだ愛の物語とかがいいわ…、私好きなのよ」

「り、りっちゃんらしいです」

「おいなまえ危ないで!」


くすくす笑いながら歩いていると、勝呂君の声が聞こえて。目の前から来た志摩達に気付いていなくて(しかも珍しく志摩も抱きついてこなかったから)思い切りぶつかった。


「きゃあっ!」

「うわっ、」

「なまえ大丈夫?!」

「二人とも大丈夫ですか?」


見事にわたしは志摩の頭に頭突きを食らわしてしまい。視界がぐわんぐわんする、災難だ。志摩は大丈夫だろうか?とゆっくり体を起こすと、ありえない光景。


「………わたしが、いる」

「はぁ?何言うてんねん志摩、ほんまにバカなったんか」

「志摩…?何言って……?!」

「痛たァ、なまえそないアプローチせんでも…」

「「…………なまえ?」」

「は?いやいや、俺は志摩ですよー…って何で俺が目の前にいるんや?!」

「それ私の質問だし!ねえ、どうなってんの?!」


りっちゃん、勝呂君に子猫君は呆然とこちらを見ている。そしてお互いがお互いの体で喋っている、
まさか、そんな夢の様な話があってたまるか。


「って…俺の体で話してるのがなまえってことはこの体がなまえのもんなん?!」

「うそでしょおぉお?!」


と、叫んでみるが目の前の自分が証拠だった。どうしようどうしよう、この状況はどうすればいいの?!



「つうか志摩の姿なのに女口調って…なんや…気持ちわるいなぁ」

「ちょお!坊、なまえに向かって気持ちわるい言わへんで!」

「なまえが京都弁…すごく違和感があるわね」

「んぁー?お前ら何してんの?授業はじまるぞー」

「シュラさん!たたた助けてくださいっ」

「は?……ピンク頭ってこんな奴だったっけか」

「「「いえ、ちがいます」」」



偶々通りかかったシュラに助けを求める一同。シュラはふんふんと事情を聞いてにやにやとおもしろそうに笑いだした。



「にゃははっ、なんか面白い事になったじゃん」

「笑い事じゃないですて!いや、愛しいなまえの体ならいくらでもオーケーやけどこのままだと俺、自分の体に自分で手ぇだしそうですわ!」

「きもちわるい志摩」

「…ほんま志摩さんは煩悩をたった方がええですよ」

「せやな」

「なまえの体で何かしたら、どうなるか分かってるわよね?」

「…如月さん、目が本気やで」

「あーまあなんだ!もっかいお互いにぶつかったら治るんじゃないかー?アタシも調べてみるけど」


とりあえずしばらくはこの姿っ、てお風呂とかトイレとかどうすればいいの?!と叫ぶなまえを余所にシュラは手をひらひら振ってどこかに行ってしまった。


「なまえになら俺の体好きにされてもええわあ…」

「じっ、冗談じゃない!とにかくコレはここだけの秘密だから!」

「じゃあ二人とも話し掛けられたらちゃんと演じなさいよ」

「……おん、頑張る」

「京都弁、わかんない…よ」

「まあそこら辺は俺らがサポートしてやるから、我慢せえ」



落ち込むなまえと喜ぶ志摩。はてさて、一体この先どうなることやら


  神様はとことん私を
  めたいの?!


(しかし、やっぱなまえ…)
(…なによ)
(やぁらかい体してはる!)
(ぎゃああ!ちょ、触るな!)
(ええやろ自分の体やし)
(ちっがーうッ!)


     20111014




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